<不適切にもほどがある>

 1986年の世界から令和の世界にタイムスリップした男が主人公の「不適切にもほどがある!」というテレビドラマが放送されている。仲里依紗さんも登場するハートフルなコメディーだ▲番組中には「不適切」な表現があるが「ドラマの特性に鑑み」「当時の表現をあえて使用」とのお断りが入り、働き方改革をめぐり、主人公から「働き方って、がむしゃらと馬車馬以外にあるのかね」なんてせりふも飛び出す▲当時は「24時間戦えますか」というCMコピーが社会に違和感なく受け入れられていた。86年といえば、成人男性の6割超が喫煙し、バスや航空機の中でもたばこを吸う人が当たり前にいて、パワハラが“愛のムチ”という言葉のもとにまかり通っていた▲社会通念は時とともに移り変わる。最近の若者の気持ちが分からない-は、大昔からの中高年の常とう句。時代に追いつかねばならないのはわれわれ中高年の方か▲きのうは桃の節句だったが、ひな飾りを前に、親が子のために願う内容も変わったのだろうか。少なくとも女の子らしくとか結婚して家庭を守ってというのは影を潜めたように見える▲「男子厨房に入らず」は古い時代の男の言い訳。家事に関わる男性は増えたかもしれないが、「手伝うよ」なら、まだ“不適切”のままかも。(屋)

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