小澤征爾、坂本龍一、谷村新司…日中友好のために奔走した日本の巨匠たち―中国メディア

27日、環球時報は、この1年で日中友好に多大な貢献をしてきた日本の文化、芸術界の著名人が相次いで亡くなったとし、若い世代による日中友好に期待を寄せる記事を掲載した。写真は小澤征爾さん。

2024年2月27日、中国メディアの環球時報は、この1年で日中友好に多大な貢献をしてきた日本の文化、芸術界の著名人が相次いで亡くなったことを振り返るとともに、若い世代による日中友好に期待を寄せる記事を掲載した。

記事は、日本の指揮者の小澤征爾さんが先日、長い闘病生活の末に亡くなったと紹介。小澤さんについて「1935年に瀋陽で生まれ、6歳まで北京の胡同で過ごした経歴を持ち、日本に戻ってからも中国への愛情が冷めることはなく、母が亡くなった際にはその遺志に従って遺灰の半分を北京に安置した」と伝えた。また、公演のために何度も中国を訪れたほか、小澤征爾音楽塾を通じて中国を含む世界の若手音楽家を育てるなど日中交流にも尽力したと説明した。

さらに、この1年で小澤さん以外にも日中友好を推進した日本の文化人、芸術家が相次いで亡くなったとし、昨年3月には、何度も中国を訪れ、侵略戦争への反省を反映した作品を数多く残したノーベル文学賞受賞者の大江健三郎氏が、4月には「老子」を愛読し、日中間の人的交流に尽力するとともに、中国の要素を取り入れた優れた作品を数多く手掛けた作曲家の坂本龍一氏が、10月には生前「前世は中国人だったかもしれない」と語ったこともあり、中国でも多くの作品が人気を博したシンガーソングライターの谷村新司氏がそれぞれこの世を去ったと紹介、「日中友好・交流分野の損失だ」と評している。

その上で、小澤さんら古い世代の日本の巨匠の多くが中国に深い感情を持っているのは戦争の影響が大きいと指摘。アニメーション監督の宮崎駿氏の実家は第2次世界大戦中に航空機工場を経営し、作家の村上春樹氏の父親は1938年に兵士として中国に赴いており、中国人捕虜の処刑について聞いたことが原因で父親との間には大きな溝が生まれたことを村上氏本人が明かしていると伝えた。

記事は、内閣府が先月実施した調査で「中国に親しみを感じる」日本人の割合が12.7%と過去最低を記録したことを紹介。その理由について、主に日本の伝統的なメディアに情報を頼っている一部の高年齢層が、中国に対して否定的な態度を持っているからだとした。一方で、「若手を中心に日中友好のために活動を始めるアーティストも日本には確かに存在する」とし、その例として歌手のMISIAが2020年に湖北省武漢市で新型コロナのパンデミックが発生した際に、コンサートで武漢への支援を呼び掛け、SNSに武漢を応援する投稿をしたことを挙げた。

そして、「過去数十年にわたり、中国と日本の巨匠たちは両国の友好に大きく貢献してきた。日本の文化・芸術界で、この友好を引き継ぐ若者が増えることを期待する」と結んだ。(翻訳・編集/川尻)

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