スイングで使う3つの股関節の動きとは?【ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑/奥嶋誠昭】

脚を前後に動かす筋肉が前傾角度の維持に関係する

【部位】股関節 【機能】脚を前後左右に動かす

右脚を後ろに引く動きが右腰を前に押し出す

股関節は脚と体幹をつなぐ関節で、脚を前後左右に動かしたり、ひねったりという動きができる構造になっています。前後の動き、つまり脚を振り上げたり振り下ろすというとゴルフスイングには関係なさそうに思えます。しかし、この動きは骨盤を前傾、後傾させる動きでもあります。脚を動かすと前傾が起き上がる傾向が出るのもこの関連があるからでしょう。左右の動きについては横に広げたり、閉じたりという動き。この動きは骨盤を左右に動かすときに関わってきます。

ではPGAツアーの平均データから、太モモの動きを見てみましょう。アドレスでは角度がついています。ヒザが曲がり、太モモが後ろに倒れていることを示します。バックスイングの間、右の太モモはさらに後ろに傾いていき、左の太モモは立っていきます。切り返し前後に骨盤の回転が反転すると、太モモの動きも反転します。P5で左右の角度がほぼ同じになるのはまさしく、「シッティングポジション=イスにすわったような状態」になっているわけです。そしてP6での右太モモについては、マイナスの数字になっています。つまり太モモは前に倒れた状態、言い換えれば骨盤に対して太モモが後ろに引けた状態になっているわけです。もちろん、これは、インパクトのときには腰が目標を向くくらいまで回っているパターンだからこそです。

●股関節の3つの動きをスイングに使う

股関節では脚を前後に振る動き、左右に振る動きと、脚全体を両方向にねじる動きがある。そのどれもスイングに使われる。

●脚の前後の動きでつくる力をターゲット方向に向ける

P6で右太モモは前に倒れる。つまり脚を後ろに引く動きで地面からの力を受け取り、右腰を押して、目標方向に回す力に変換している。

●股関節の角度の変化

(単位はcm、小数点以下2位で四捨五入)

出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭

【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。

【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭

スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。 その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。

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