ライフステージの変化や、体や心のゆらぎを日々実感するマチュア世代。そんな大人の暮らしをより豊かで快適にしてくれるアイテムを、家電のプロ・神原サリーさんがナビゲート。第8回は「電子レンジ」3点をご紹介します。
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ライフステージの変化とともに、住まいを小さくしたり、不要なものを手放したりと、暮らしのダウンサイジングを考える人が増え始めるマチュア世代。
「もし、家電もコンパクトにと考えているなら、手始めにレンジを見直してみては?」と神原サリーさん。
「お子さんが小さいときに購入した、ファミリー向けの大型のオーブンレンジを使っているご家庭も多いかと思いますが、夫婦2人、もしく1人暮らしなら、容量は20ℓ前後のコンパクトなもので十分です」
また機能についても、スリム化が可能だそう。
「オーブン機能やスチーム機能がついていても、実際にはあたためと解凍くらいしか使わないという人が多いんです。もし、毎日使う機能が限定されているのなら、特定の機能、たとえば解凍やあたため機能に特化したシンプルな電子レンジを選択肢に加えてみてもいいかもしれません。
解凍がムラなくできたり、揚げ物のあたため直しがサクッとできたり。自分がいちばんよく使う機能が優秀だと、暮らしの中のストレスが減るんですよね。それって毎日料理をする身としては、すごく大事なことで。小さなことだけれど、暮らしの質は各段に上がるはず。
機能が絞られているから、その分サイズもコンパクトになるし、操作も簡単。リーズナブルな価格も魅力です」
中には、これまで高価格帯のモデルにしか搭載されていなかった「自動料理メニュー」を搭載したものも。
「電子レンジのみで調理が完了する自動調理は、栄養素を逃さず調理できるうえ、油を使わないからヘルシー。健康が気になる世代には、おすすめの機能です。『でもそういうのって、味はイマイチなんじゃない?』と思う人もいるかもしれませんが、レンジ機能やグリル機能の進化のおかげで、味も◎。
自分では作らないような手のかかる料理もおいしく簡単に作れるので、あれこれ作りたくなるほど。料理が苦手、家事の負担を減らしたいという人にも、おすすめです」
シロカ「おりょうりレンジ」
ひとひねりある生活家電を続々開発しているシロカ。2021年より参入した電子レンジでは、“解凍”に着目。一部だけに火が通ってしまいがちなひき肉などもおいしく解凍できる独自の解凍プログラム、「やさしさ解凍」を搭載した電子レンジを発売しています。
「この『やさしさ解凍』がものすごく優れていて。食材ごとに出力を細やかにコントロールして熱の通しすぎを防止してくれるから、ひき肉や刺身のサクといった解凍が難しい食材も上手に解凍できるんです。『やさしさ解凍』は、特許も取っているんですよ。全国の飲食店などで使われる業務用レンジにも進出していることからも、その実力のほどがわかるはず。
あたため機能も優秀で、湿度センサーによって自動でちょうどいいあたたかさにしてくれるから、『熱すぎて食べられない!』なんてこともありません」
「おりょうりレンジ」という名前通り、54種類ものオートメニューを搭載していることも、大きな特徴です。
「ちょっと前までは、10数万円出さないとこういった機能のついたレンジは買えなかったんですよ。それがこの価格でというのは、うれしいことですよね。
とはいえ、使いこなせなかったら意味がない。その点、シロカはレンジ本体の操作が簡単なのに加えて、レシピブックがとても親切で行き届いているんです。だから機械オンチな人でも、材料さえ用意すれば誰でも簡単においしい料理が作れると思いますよ。
私も作るたびにおいしさに感動しているのですが、実はレシピの開発には社長さん自らも携わっているそう。おいしさへのこだわりがある方が率いている会社だからこそ、こういった一台が出来上がるんだなと納得です」
「おりょうりレンジ」SX-23D151、SX-23D152 全2色(ホワイトは一部店舗限定)
庫内容量:23ℓ
レンジ出力:1000W、600W、500W、200W相当、100W相当
外形寸法:約495×376×302mm
庫内有効寸法:約335×332×229mm2万4800円(編集部調べ)
シロカ ☎︎0570-001-469
https://www.siroca.co.jp/product/cooking-microwave-oven/
ツインバード「センサー付フラット電子レンジ」
電子レンジを使う際に起こる、解凍ムラやあたためムラ。中心まで火が通ってなかったり、逆に加熱しすぎていたりといったガッカリな仕上がりは、もはや “電子レンジあるある” かもしれません。
「そんなガッカリを解消してくれるのが、ツインバードの電子レンジ。あたためも解凍も加熱具合が絶妙で、『よく使う機能が優秀だと、こんなにストレスがないのね!』とうれしくなります。
中心までムラのないあたためを実現したのは、出力を適切にコントロールできる『インバーター』と『加熱制御プログラム』、温度検知の精度が高い『赤外線センサー』の3つの技術。そして失敗なく解凍できるのは、ゆっくり安定した低出力であたためる『100W連続運転』によるもの。
冷凍食品のあたためも得意で、おいしく食べごろの状態に仕上げてくれます。電子レンジを使う用途が解凍とあたためだけの人にとっては、最適な一台といえるのではないでしょうか」
あたためも解凍も、グラム設定や加熱時間の設定が不要な点もうれしいポイント。たとえば冷凍食品の場合、メニューボタンを押して「冷凍食品」を選び、「スタート」ボタンを押すだけでOK。何も考えなくても、おいしくあたためることが可能です。
「操作ボタンは4つだけだから、説明書を読まなくても感覚的に使えます。年を重ねると、家電の複雑な操作が苦手になったり、説明書を読むのがしんどくなったりしますよね。その点でも、パッと見て直感で使える家電はストレスフリー。高齢のご両親へのプレゼントにしても、喜ばれると思いますよ」
「センサー付フラット電子レンジ」DR-F282B 全1色
庫内容量:18ℓ
レンジ出力:1000W、900W、600W、500W、200W、100W
外形寸法:約460×350×275mm(ドアハンドル含まず)
庫内有効寸法:約315×330×195mm2万7800円(編集部調べ)
ツインバード ☎︎0120-337-455
https://store.twinbird.jp/products/drf282
象印マホービン「EVERINO(エブリノ)」 ES-JA23
炊飯器や魔法瓶でおなじみの象印マホービン。レンジのイメージがない人も多いかと思いますが、それもそのはず。2022年に発売された「エブリノ」は、実に17年ぶりに象印から発売されたオーブンレンジなのです。
「開発にあたって、“本当に使ってもらえるレンジ” を目指したというだけあり、多くの人が不満に思っていた『あたためムラ』『グリル調理は時間がかかる』『揚げもののあたため直しが上手にできない』という点を解消する、ユニークな機能が搭載されているのが特徴です。
まず1つめの機能が『うきレジ』。これは、付属のボウルに食材を入れ、同じく付属の角皿の下にあるレールにボウルを差し込み、浮いた状態であたためるというもの。こうすることで、全方位から加熱することができるようになり、あたためムラのない仕上がりに。
2つ目の『レジグリ』は、レンジ機能で食材の芯まですばやく熱を通した後、自動でグリル機能にチェンジ。食材の表面にこんがり焼き色をつける機能。火の通りにくいハンバーグなども、最初にレンジ加熱をしておくことで時短調理がかなうというわけです。
3つ目は『サクレジ』。こちらも『レジグリ』同様、レンジとグリルのリレー調理で、揚げ物を中まであつあつに、外側はサクッとあたため直せます」
これらの機能を可能にしたのは、魔法瓶や炊飯器などの開発で培ってきた、独自の温度コントロール技術なのだそう。さらに、デザイン面にも独自のアイディアが光ります。
「小さなことだけど、実はすごい発明だなと思うのは、本体下部に設置された、自動メニューの番号が書かれたスライド式のメニューボード。通常はレンジの扉にズラリと書かれていたり、説明書を確認しなければいけないものが多いなか、『エブリノ』はボードを引き出すと自動メニュー番号が確認できる仕組みになっているんです。見た目がすっきりしているし、なにより見やすく、わかりやすいのがいいですね」
「オーブンレンジ EVERINO」ES-JA23 全2色
庫内容量:23ℓ
レンジ出力:1000W、600W、500W、300W、150W
外形寸法:478×398×349mm(ドアハンドル含まず)
庫内有効寸法:363×310×175mm4万8600円(編集部調べ)
象印マホービン お客様ご相談センター ☎︎0120-345135
https://www.zojirushi.co.jp/syohin/kitchen/oven_range/es-ja/
監修者
家電ライフスタイルプロデューサー 神原サリー
かみはら・さりー⚫︎年間1000点以上の家電をチェックし、その魅力を伝える家電のプロ。さまざまな商品を実際に使用したうえで発信する消費者目線の言葉は、家電への愛にあふれ、説得力バツグン。また、「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」姿勢に、メーカーの開発者やマーケティング担当者からの信頼も厚い。
【X(旧Twitter)】@KamiharaSally 【YouTube】@tenyencoin