〈新NISA〉オルカン一択ではつまらない!? やっぱりチャレンジしてみたい個別株…初心者向けの銘柄選定【公認会計士が解説】

(画像はイメージです/PIXTA)

NISAでは〈オルカン〉などのインデックス・ファンドが推されているものの、やっぱり個別株も買ってみたい…。密かにそう思っている人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、余裕資金で個別株を買う場合のお勧め銘柄について見ていきます。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

やっぱりチャレンジしてみたい「個別株」

生徒:先生、NISA口座では「オルカンなどのインデックス・ファンドを買え」といわれますが、やっぱり個別株も買ってみたいです。

先生:個別株の投資に興味があるのですね。では、その話の前に、大前提をひとつだけ理解しておきましょう。インデックス・ファンドは、市場全体に投資することでリスクを分散し、長期的に安定したリターンを期待できる商品です。20年、30年といった長い目で見れば、個別株を一切買わず、インデックス・ファンドだけで運用するほうが、高いリターンを得られる可能性があります。個別株を買うということは、最適な資産配分をあえて崩すということになるため、オルカン、すなわちeMAXIS Slim全世界株式に100%投資している場合よりも、リターンが下がったり、リスクが上がったりします。それを十分に理解してください。

生徒:やはり、オルカン1本が理想なのですね…。

先生:インデックス・ファンドは市場全体に投資するものです。オルカンであれば世界全体です。そうなると、個別企業の動向には関心が向かないでしょうね。一方で、個別株に投資すれば、株価の日々の変動を目にすることになりますし、金利・為替・物価など経済の動きについて、より敏感になるでしょう。そのため、個別株に投資すれば、自ら経済の動きを理解しようと努力することになり、ご自身の仕事や生活に役立つ情報を得ることができます。インデックス・ファンドは、効率的な資産運用には有効ですが、経済の動きを理解するきっかけとして、個別株への投資もひとつの手段になるといえるでしょう。

おススメは米国企業のデジタル系、AI関連企業

生徒:なるほど。そのような考えもあるのですね。では、もし個別株を買うとするなら、なにがおススメですか?

先生:個別株を検討するとき、多くの人がまず考えるのが「日本企業か、それとも米国企業か」という選択です。日本企業への投資は、止めたほうがいいでしょう。高齢化で人口が減少し、市場が縮小しているため、国内での成長余地が限られるからです。また、日本銀行のゼロ金利政策により、産業の新陳代謝が行われず、上場企業であっても生産性の低い企業ばかりだからです。日本企業の株価が大きく上昇する可能性は低いと考えるべきでしょう。これに対して、米国企業は成長のチャンスが多いです。とくにデジタル技術の分野で、GAFAやMicrosoftのような大企業が技術革新を進めています。最近では、AI関連企業が注目されており、成長性が高いと考えられています。

生徒:では、米国企業ということになりますね。具体的にどの銘柄でしょうか? やはりGAFAでしょうか?

先生:そうですね。GAFAが基本となりますが、それにAI関連企業も対象となります。つまり、Googleを運営するアルファベット、アップル、Facebookを運営するメタ、アップルに加えて、OpenAIのChatGPTをフル活用するMicrosoft、そのAIを動かす半導体を製造するエヌビディアでしょう。さらに、破壊的なイノベーションを現実に推進するテスラも対象になりそうです。

生徒:GAFAはニュースでよく見ますが、エヌビディアを知らない人は、結構いるかもしれませんね。

先生:エヌビディアは、米国の画像処理半導体メーカーで、GPU、すなわちグラフィックス・プロセッシング・ユニットで高い市場シェアを持っています。

生徒:パソコン市場の縮小が続くなか、高性能パソコン向けの半導体は飛ぶように売れましたね。

先生:エヌビディアの強みは、GPUに関する優れた技術力です。競合他社と比べて、半導体の処理能力が圧倒的に高いのです。高度な映像処理能力を必要とするパソコンには欠かせません。また、その処理能力の高さは、自動運転技術にも活かされています。自動車向けAI音声アシスタントであるドライブ・コンシェルジュと、自動車を自動運転させるアプリ、ドライブ・ショーファーを発表しました。こうした技術は、テスラのようなEVメーカーだけでなくメルセデス・ベンツなど世界的な自動車のメーカーに提供されているのです。

もし年間30万円程度投資するなら、どのように分散させればいい?

生徒:ゲーム用パソコンの部品を作るメーカーが、今ではAIを動かす半導体メーカーになったのですから、本当にすごいですよね…。では、もしこれらに年間30万円くらいを投資するとしたら、どのように分散させればいいですか?

先生:単純に、均等配分すればいいのではないでしょうか。7社ですから、各社5万円ずつ合計35万円とか…。ただし、株価の変動が激しいですから、大きく値下がりしたときに焦って売ってしまわないようにガマンすることが必要ですね。また、結果としてオルカンに負けてしまう可能性が高いことも覚悟してください。まあ、経済の勉強のための授業料だと思えばよいでしょう。ただし、投資は自己責任でお願いしますよ!

生徒:わかりました。ありがとうございました!

※ 本記事の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン