世界9位デミノーがアカプルコ大会連覇でツアー通算8勝目!「ここは僕のホームグラウンドのように感じる」<SMASH>

男子テニスツアー「アビエルト・メキシコ・テルセル・HSBC」(2月26日~3月2日/ハードコート/ATP500)は現地3月2日にシングルス決勝を実施。第3シードでディフェンディングチャンピオンのアレックス・デミノー(オーストラリア/世界ランク9位)が第6シードのキャスパー・ルード(ノルウェー/同11位)を6-4、6-4のストレートで下し、殊勲の大会2連覇を果たした。

昨年のアカプルコでATP500初優勝を飾ったデミノーは、大量ポイントのディフェンドがかかる今大会も初戦で日本のダニエル太郎(64位)に快勝した勢いそのままに勝ち進み、準々決勝では過去10戦全敗だったステファノス・チチパス(ギリシャ/12位)に初勝利。準決勝は対戦相手のジャック・ドレイパー(イギリス/50位)が試合途中で棄権し、2年連続の決勝進出を決めていた。

デミノーとルードがツアーで顔を合わせるのは、意外にも今大会が2019年11月の「Next Gen ATPファイナルズ」(21歳以下のシーズン最終戦)以来2度目。実に約4年4カ月ぶりの対決が実現した決勝ではデミノーが試合を優位に進めていく。早いタイミングで捉える攻撃的なストロークやサーブ&ボレー、低く滑るスライスなどの多彩なプレーを見せてポイントを量産。1ブレークのリードを守り切って1セットアップとする。

しかし、第2セットに入るとルードが得意のフォアハンドを起点にラリーを組み立ててきたことで苦戦。第2ゲームで先にサービスダウンを喫してしまう。それでもすぐに気持ちを切り替えたデミノー。直後の第3ゲームですかさずブレークバックに成功すると、第7ゲームでもブレークを果たしてリードを奪う。
デミノーの最大の見せ場が訪れたのは終盤の第9ゲームだった。迎えた3ポイント目で何とかリターンを返したデミノーは、ルードのスマッシュやドロップショットをことごとく拾い、最後に相手のミスを誘う驚異のディフェンスを披露。持ち前の粘り強さでも会場を沸かせたデミノーが1時間57分の熱戦を制し、価値あるタイトル防衛を成し遂げた。

ちなみにアカプルコでの連覇は、トーマス・ムスター氏(オーストリア/1993~96年)、ニコラス・アルマグロ氏(スペイン/2008、09年)、ダビド・フェレール氏(スペイン/2011、12年)に次いで史上4人目。14年にクレーコートからハードコートでの開催に変更されてからは初めての快挙だ。

ツアー通算8勝目を挙げたデミノーは試合後のインタビューでアカプルコとの相性の良さを踏まえつつ、次のように喜びを語った。

「素晴らしい一週間だったが、率直に言えば、予想外な一週間でもあった。今年は最高の気分でメキシコに来たかと言うとそうではなく、ただ自分自身にチャンスを与え続けようと言い聞かせ続けていた。

今日の決勝は今大会で最高の試合ができたと思うから、とても満足している。アカプルコは僕のテニス人生で非常に良い舞台になっている。ここでATP500を初めて優勝したし、キャリア初のタイトル防衛もここだ。アカプルコは僕のホームグラウンドのように感じるし、素晴らしい場所だ」

ただし今大会はポイントを加算できないため、デミノーは最新の世界ランキングで9位から10位に1つ順位を落とすことが確定。代わりに今週の活躍で約4カ月ぶりのトップ10復帰を決めていたルードが9位に浮上することとなった。

文●中村光佑

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