【ジャカルタですしを食べる】金沢の押しずし。美卯

金沢の「押しずし」は、米一升を使ったご飯が入る「一升箱」を使い、ご飯、魚、仕切りに昆布や笹の葉、そしてまたご飯、魚……と、ご飯と魚を計4段にして、重石を載せて一晩置く。魚はサバやタイ。一晩かけて押すので「ぐーっと味が染みる。食べる時は箱から出して、包丁で切り分けます。お祭りの時には、これを食べていました。金沢の郷土料理です。寒い所なので、保存食だったんでしょうねぇ」と、「美卯」の厨房を取り仕切る、日本食アドバイザーの松田直美さん。

この金沢の押しずしに松田さん独自のアレンジを加えたのが、美卯の押しずし。魚は脂の乗ったサーモンを使うことが多い。これを薄塩で3〜4時間ほど締め、三杯酢に漬けて2時間ほど置く。炊いたご飯には三杯酢のほか、魚の味の染み出た、魚を漬けた三杯酢を混ぜるのがポイント。押しずしの上には松前昆布を敷き、昆布と魚の間に自家製ガリ、ゆず代わりのレモンの皮の薄切り、大葉をしのばせる。

だしじょうゆを少しつけて口に入れれば、分厚い切り身の魚と絶妙な味加減のすし飯が渾然一体となり、「すしがなぜ生まれたか」がわかるような気がする。すしの原点のような味。それでいて現代的で、一晩も押さないので魚は刺身のようにフレッシュだし、昆布の下に潜ませた3種の薬味がさわやかだ。毎日でも食べたい押しずし。松田家では「何かあった時のご馳走は、これ。孫たちも大好きなので」と松田さん。

美卯の料理に添えられている花々は、松田さんが毎朝5時ごろに起きて、家の近所を1〜2時間も歩き回り、摘んで集めたもの。金沢の伝統料理にジャカルタらしい彩りが添えられているのが心憎い。

日本食を監修する松田直美さん

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