埼玉のアニメ聖地、さらに…「わたてん!」巡礼でにぎわう長瀞 地元商店も歓迎「孫が増えた気分」

小依と夏音のバースデー企画に参加した、一本屋の従業員=2月27日、埼玉県長瀞町長瀞

 国内外のアニメファンの投票を参考に選出する、アニメツーリズム協会(東京)の「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」2024年度版に、埼玉県長瀞町が舞台のアニメ作品「私に天使が舞い降りた!プレシャス・フレンズ(わたてん!)」が初選出された。22年10月に映画館で全国公開された同作には、岩畳やラフティング、ロープウエーなど、町内の人気観光スポットが多数登場する。秩父市の「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「空の青さを知る人よ」、横瀬町の「心が叫びたがってるんだ。」に続き、秩父地域のアニメ聖地に加わった「わたてん!」の巡礼がいま、熱い!

■事業者一体で歓迎

 わたてん!(椋木ななつ作)は、17年から雑誌「コミック百合姫」(一迅社)で連載が始まり、19年にテレビアニメ化。22年の劇場版では、小学5年生の花、ひなた、乃愛、小依、夏音の仲良し5人組が、ひなたの姉みやこらと共に「修学旅行の練習」として、長瀞町などを散策する。

 上映期間中、町内事業者は舞台巡りマップの配布や、夏の風物詩「船玉まつり」のビジュアルポスター掲示などでファンを歓迎した。観光施設に設置したキャラクター缶バッジのカプセル玩具(ガチャガチャ)は計1200個が完売。岩畳通り商店街や宝登山などのアニメ舞台を巡る「シールラリー」は約1500人が参加し、盛況だった。

■初めての観光客が増加

 イベントの窓口を担う町観光協会の田島茂行事務局長(50)は「長瀞観光は比較的リピーターが多いが、最近は初めて訪れてみたという観光客が増えてきている」と、ファン誘致の手応えを語る。長瀞は四季折々の景観が楽しめる観光地として浸透しているが、事業者一体でアニメ聖地をPRするのは今回が初めて。「季節を問わずにイベント展開できるのが、今までにはない強み」という。

 同協会は、映画公開終了後も制作会社らと連携し、コラボイベントを継続。2月は、キャラクターの小依と夏音のバースデー企画を展開し、限定ポストカードの寄贈や、等身大キャラクターパネル設置などで、全国各地から訪れるファンを楽しませた。

■「孫が増えた気分」

 バースデー企画に協力した、岩畳通りの老舗土産店「一本屋(ひともとや)」には、キャラクターの衣装をまとったファンらが平日も訪れ、秩父特産品の売り上げに貢献している。同店店主の雨宮由美子さん(70)は「自分の店がアニメに登場するシーンを見た時は、心がわくわくした。来店するファンは、心優しい人たちばかりなので、孫が増えた気分」と笑顔で語った。

 3月は、秩父鉄道長瀞駅前の町観光情報館などを会場に、「花ちゃんバースデー企画」が予定されている。

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