へそくりで貯めた「10万円」もタンス預金になる?税務署にはバレない?

課税対象になるのかはへそくりの出どころと金額が重要

へそくりを貯める場合、へそくりに使ったお金の出どころははっきりさせておきましょう。自分のお金でない場合は、贈与税や相続税の対象になるケースもあるためです。

課税対象にならない条件

課税対象とならないケースの例は以下の通りです。

__・源泉徴収が終わって勤務先から受け取った給与や個人事業主が確定申告を終わらせている収入
・へそくりで貯めた金額が110万円以下
・ほかの相続と合計しても相続税の控除額を超えない金額__

贈与税は1年間に110万円超の贈与があった場合に発生します。へそくりに回している金額が110万円に満たなければ、そもそも控除額を超えないため贈与税は発生しません。また、結婚祝いや見舞金などで受け取ったお金も、社会通念上相当と考えられる範囲であれば贈与税は非課税です。
※出典:国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」

一方、パートナーの生活費からこっそりへそくりに回していた場合、パートナーが亡くなると相続財産として扱われます。そのため、へそくりの金額と相続財産を合わせたときに、控除額を超えていれば相続税の対象となり、超えていなければ非課税です。

相続税の控除額は、3000万円+(600万×相続人数)で求められます。

例えば、相続人数が3人だと控除額は4800万円のため、へそくりも合わせた相続財産が4800万円以下なら非課税となります。
※出典:財務省「身近な税 Q&A~身近な税について調べる~」

課税対象になる条件

へそくりで特に注意したいケースが、パートナーから受け取った生活費の一部をへそくりに回していた場合です。民法第549条によると「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」とされています。

つまり、生活費は贈与の意思をもって無償で渡されたお金ではないため、贈与に該当しません。贈与とみなされないパートナーから受け取ったお金は、あくまでパートナーのお金として扱われます。

たとえ自分が生活費をやりくりして貯金していたとしても、パートナーのお金を代わりに管理している扱いになるため注意が必要です。

もしパートナーが亡くなった時点でへそくりを貯めていれば、それは相続財産に加えられます。相続人数が3人の場合、相続財産が合計4800万円を超えていれば、超えた分が相続税の対象です。また、相続なので財産はすべて合わせて相続人で分割することになります。

もし贈与税の対象となる場合、注意点としては本人に対して贈った方それぞれで控除額が年間110万円ではなく、すべての合計で110万円が控除額である点です。

例えば、夫に渡された生活費からへそくりへ回した10万円に加え、同じ年に兄弟から50万円、親から80万円を贈与された場合、合計金額は140万円になるため、贈与税が発生するので注意が必要です。

へそくりに税金がかからないようにするための対策

パートナーが亡くなったあとに相続税として加算されないためには、パートナーの生前にへそくりの存在を伝えておくことです。

民法第549条にあるように、お互いに贈与の意思があれば、贈与が成立します。贈与が成立していれば相続財産ではなく自分の財産として扱われるため、贈与税の控除額である年間110万円の範囲内なら税金が発生しません。

可能であれば、へそくりとして贈与を受けたときに贈与を成立させたという正式な証明書の「贈与契約書」を作成しておきましょう。万が一税務調査が入っても、贈与契約書があれば贈与を受けた証拠になります。

税金の対象とならないためには証明書を作成しておこう

へそくりはこっそり貯めたいものですが、パートナーが亡くなるまで隠したままだと贈与とはみなされず、相続税の対象になる可能性があります。もし少しでも税金のかかる可能性を少なくするなら、パートナーに貯金することを伝えたうえで贈与契約書を作成してお金を受け取れば、贈与が成立し相続税の対象にはなりません。

ただし、贈与税の控除額は1年間で110万円です。110万円を超えて贈与されれば贈与税が発生するので、受け取る金額には注意しましょう。

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
財務省 身近な税 Q&A ~身近な税について調べる〜
デジタル庁 e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第五百四十九条

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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