若者が若者に向けてマーケティング『ワカスタビジコン2023』開催

ADKグループが、若者と一緒に若者を研究し若者を動かすためのアイデアを開発する、ADK若者マーケッター集団「ADK若者スタジオ(以下、ワカスタ)」によるマーケティングアイデアコンテスト『ワカスタビジコン2023』を2024年2月23日(金・祝)に開催した。

本コンテストでは、参画企業が実際に抱えるマーケティング上の課題をテーマに、ビジネスアイデアを全国の大学生・大学院生から募り、155チーム517名の頂点が決定した。参画企業は、カゴメ株式会社(以下、カゴメ)、東京地下鉄株式会社(以下、東京メトロ)、株式会社ジェーシービー(以下、JCB)の3社。

カゴメ部門では「若者が気軽に野菜を食べられる環境にするための仕掛け」、東京メトロ部門では「ワカモノの中で『メトポ』を流行らせるような仕掛け」、JCB部門では「ワカモノに『初めてクレジットカードを作るならJCBブランド』と思ってもらえる仕掛け」という課題が出され、それぞれの部門で優秀賞チームが選ばれた。

さらに、参加者の現役学生を対象に、インターンシップの経験や仕事を選ぶ際に重視していること、就活に対するスタンス、希望の勤務スタイル、最近のCMや広告について思うことなどについて調査。イマドキの学生たちのリアルな考え方が明らかになった。

■仕事・企業選びで重視することランキング
1位 やりがい(29.6%)
2位 業務内容(22.0%)
3位 人間関係(10.8%)
4位 自己成長性(9.7%)
5位 給与(9.1%)

<『ワカスタビジコン2023』 URL>

■『ワカスタビジコン2023』決勝レポート
全国155チーム、517名の中から、審査によって選ばれた6チーム×3テーマが決勝大会に出場。参画企業のカゴメからは「若者が気軽に野菜を食べられる環境にするための仕掛け」、東京メトロからは「ワカモノの中で『メトポ』を流行らせるような仕掛け」、JCBからは「ワカモノに『初めてクレジットカードを作るならJCBブランド』と思ってもらえる仕掛け」という課題が出され、各チームがプレゼンテーションを展開した。

<カゴメ部門・優秀賞>
課題:若者が気軽に野菜を食べられる環境にするための仕掛け
ラッテ(中央大学、明治大学、金城学院大学)
波多野鈴夏、森崎成海、小池梨紗子
企画:食べるコスメ「PAKKUN」

発表概要:チーム ラッテは、20代女性の野菜摂取量不足を解消するため、野菜の摂取を義務感ではなく「+αで⾷べる存在」や「欲しいからたくさん⾷べる存在」にしたいと提案。そこで、女子大生が義務感ではなく、+αとしてたくさん買っている“コスメ”に目を付け、野菜で作られた“食べるコスメ”「PAKKUN」を考案した。本商品は野菜の成分によって作られた唇パックで、乾いた唇に貼って唇の保湿ができる上に、使い終わった後はそのまま食べることができるというもの。唇パックに注目した理由に、「見た目のインパクトが強く、映える(=SNSでシェアしたくなるビジュアル)」「フィルター機能に飽きた若者たちの間で、顔を直接デコるのが流行っている」「SNSに『唇パックが美味しそう・食べてみたい』という意見が多数上がっている」を挙げ、売り場やプロモーションのイメージも具体的に立案。さらには、実際に「PAKKUN」を自宅で制作し、会場にも持参して披露することで、商品化が不可能ではないことを証明しました。チーム ラッテは、会場に訪れた人たちの投票によって決まる「オーディエンス賞」も受賞。審査員だけではなく、ビジコンに関わる学生たちからも高い評価を集めた。

カゴメからのコメント:「まず、我々にはない女子大生ならではの発想力に驚かされました。野菜摂取を義務ではなく、日常を彩る+αの存在として『野菜ってカッコいい』『可愛い』と、ポジティブに捉えてもらうという着眼点がとても良かったです。しかも、思いつきではなく、SNSでの情報収集や試作などちゃんと裏取りもできている。実際に(『PAKKUN』を)作っていただいたのもすごいと思いました。野菜の色も、ひとつの価値なんですね。商品化はカゴメだけの力では難しいかもしれませんが、お付き合いのある会社と協力すれば実現できるかもしれません」

<東京メトロ部門・優秀賞>
課題:ワカモノの中で「メトポ」を流行らせるような仕掛け
SEAGIRLS(早稲田大学)
田村柚乃、富井かん菜
企画:LINE公式アカウント「東京メトロ社員 メト郎」

発表概要:チーム SEAGIRLSは、まず、今回の課題である「メトポ(=PASMOで定期券区間外の東京メトロ線に乗車すると、乗車日数や回数等に応じてポイントを進呈するサービス)」について、「ワカモノは、ポイントでは動かない」と主張。そんな若者世代、特に「(単位を取得し通学の頻度が落ちたことで)定期券を所有しておらず、電車で週3回以上移動する人が80%以上いる大学4年生」をターゲットに、新サービス「LINE公式アカウント『東京メトロ社員 メト郎』」を提案しました。本サービスは、「メト郎」というおじさんのキャラクターが、遊ぶ場所を決める際に180の駅の中からおすすめの場所をLINEで教えてくれる&チャット内で「メトポ」の登録も促してくれるというもの。本当は新しい駅を開拓してみたいが、特定の駅を提案すると何か意図があると思われてしまいそうで提案しづらいため、遊ぶ場所が偏るために、「とりま渋谷」となりがちな若者世代。そのような「駅マンネリ化問題」を解消したい若者のニーズを解説し、本サービスの隠れた需要の高さについて語りました。ほかにも「メトポ」登録後に利用できるサブ機能も紹介。「メトポ」利用者を増やすという本来の目的も併せて達成できることをアピールした。

東京メトロからのコメント:「我々の視点では気付くことができない大学生の行動パターンを踏まえ、リーチから拡散までとても具体的に説明してくれました。我々だと『大学生』というセグメント以上の細分化はなかなかイメージが難しいですが、皆さんはターゲットを大学4年生に絞り、ペルソナもしっかり設定できていました。あえて抽象的な課題を出したのですが、ちゃんと『メトポ』の登録に比重を置いてもらえて、中長期的に東京のいろんな街の魅力を拡散してもらえるというところで、我々の目指す乗車促進のイメージに沿った企画内容でした」

<JCB部門・優秀賞>
課題:ワカモノに「初めてクレジットカードを作るならJCBブランド」と思ってもらえる仕掛け
底面積×高さ×3分の1(東洋大学、高崎経済大学、聖心女子大学大学院)
工藤怜、日影舘優歌、安藤穂乃佳
企画:SNSアプリ「JCB Memory」

発表概要:チーム 底面積×高さ×3分の1は、JCBカード利用者の80%が高校卒業~大学1年生までに初めてカードを作っていることに触れた上で、約50%の学生が、大学入学時に友達作りや金銭管理などへの漠然とした不安を抱えていたという調査結果を発表。そこで、友達のありのままの日常を知ることができ、かつ、簡単に生活上の支出を記録できるサービス「JCB Memory」を提案した。本サービスは、JCBカードで決済を行うと5秒後に撮影画面が起動し、購入したものやそれにまつわるものを撮影。その写真が購入したものの金額とともに、半強制的に繋がっている友達へ共有されるというもの。あえて半強制的に公開することで「限界大学生(=充実した大学生活を自虐風にアピール)」「匂わせ(=異性と遊んでいることを写真でアピール)」などに代表される「『自ら発信するのは恥ずかしい』でも『本当は見せたい』」という学生の心理を突き、学生の間でブームを起こせると解説しました。ほかにも、「限界大学生」を自称する大学生は生活の充実ぶりを遠回しに伝えようとしているという仮説から、利用金額の上限に近づくほどカラーの彩度が変化してモノクロ風になっていくなど、ユニークなサブ機能についても紹介した。

JCBからのコメント:「利用者を増やす施策を考えるとき、どうしても我々は利得性に走りがちですが、本日ご提案いただいた6チームは皆、利得性よりもコミュニティや付加価値を提供する方向で企画を作ってくれました。それは我々にとって良い気付きになりましたし、そういう意味では全チームにそれぞれ素晴らしい点がありました。JCBは多くの会員様や加盟店様にお使いいただいており、そのなかで発生するビッグデータをお客様のためにどう活かしていくか、会社としても真剣に考えています。審査の決め手になったのは、今回の『ワカモノに初めてクレジットカード作ってもらう仕掛け』というテーマに、ダイレクトに沿っているというところです。大学生の入会動機や、提案する時期など、細かい整備もしっかりなされていました。マッチング機能の組み立ては、簡単にはできないかもしれませんが、トライしてみたいと思わされた提案でした」

<審査員>
宮地雅典氏(カゴメ株式会社 執行役員マーケティング本部広告部長 兼 野菜をとろうキャンペーン推進担当)
増田大二郎氏(カゴメ株式会社 マーケティング本部 広告部 野菜をとろうキャンペーン推進グループ担当課長)
石田崇氏(東京地下鉄株式会社 鉄道本部 CX・マーケティング部 デジタルマーケティング担当 課長)
岸本健一氏(東京地下鉄株式会社 鉄道本部 CX・マーケティング部 デジタルマーケティング担当)
渡邉隼人氏(東京地下鉄株式会社 鉄道本部 CX・マーケティング部 MaaS推進担当)
三井正滋氏(株式会社ジェーシービー 広報部 部長)
渥美良祐氏(株式会社ジェーシービー 広報部)
渡部彩花氏(株式会社ジェーシービー 広報部)

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