戦火から逃れ日本に ウクライナ2女性が旅立ちの春 島根県江津市、日本語学校8日卒業

江津市での暮らしを振り返るナタリーア・スポダさん(右)とアンナ・クリスティーナ・ロシュコさん=江津市江津町、はなまる日本語学校島根校

 ロシアによる侵攻から逃れ、はなまる日本語学校島根校(江津市江津町)で学んだウクライナ人女性2人が8日に卒業し、アニメーター、写真家を目指して東京都内の専門学校へそれぞれ進学する。2人は戦火の故郷に思いをはせ、江津で過ごした日々へ感謝しながら、夢の実現へ決意を新たにしている。

 2人はロシア国境に近いウクライナ北部のチェルニヒウ出身のナタリーア・スポダさん(29)と、ポーランド寄りの西部イバノフランコフスク出身のアンナ・クリスティーナ・ロシュコさん(22)。ウクライナ人学生の支援プロジェクトで、2022年7月と11月に相次いで入学した。

 アニメーターを目指すスポダさんは、有福温泉のホテルでアルバイトし、花田植えなど地域の祭りにも参加。「多くのサポートを受けたから卒業の日が迎えられた。江津を離れるのがとてもさみしい」と話す。

 気がかりなのは故郷で病院勤務を続ける母(54)。メッセージアプリでやりとりを続けるものの不安は募る。進学する専門学校は3年課程で、卒業後は日本での就職を希望し「一人前のアニメーターになり、平和な日本で一緒に暮らしたい」と将来像を描く。

 ウクライナ侵攻開始から2年が経過。「戦争はとても悲しく大変なこと。一日も早く終わってほしい」と願う。

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