地震で液状化の復旧、説明不足 発生2カ月、石川・内灘町

液状化とみられる現象で多くの被害を受けた、石川県内灘町の家屋や建物=2日

 能登半島地震で地盤が液状化し、住宅に傾斜や沈下の被害が多発した石川県内灘町で住民向けの説明会などが開かれず、復旧や復興に向けた具体的な方策が見えないまま発生2カ月を超えた。被害が出た地域は町内でも高齢化率が高く、住宅再建が難しければ人口流出の恐れも。町が掲げる「災害に強い町づくり」に向けては、住民にとって合意形成の前提となる情報が不足している。

 国土交通省が公表した宅地の液状化被害は推計で石川県のほかに新潟県と富山県の計約1万5千件に上る。内灘町では砂質の地面が液状化するだけでなく、横に滑る「側方流動」が起きたとみられる。砂が流出した部分で建物や道路が陥没し、流れ込んだ部分で建物が傾いたり地面から砂が噴き出したりしている。

 町内の住宅被害は今月1日現在、1421棟に上り、大半は液状化が原因とみられる。特に被害が大きかった宮坂、西荒屋、室、湖西といった地区は砂丘の斜面を切り出して開かれた古くからの住宅街。4地区の高齢化率は38%と町全体に比べて10ポイントほど高い。高齢者にとって再建の負担は重い。

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