中国石油天然気集団傘下シンクタンク、産業発展リポート発表

中国石油天然気集団傘下シンクタンク、産業発展リポート発表

新しい掘削現場で組立作業をする大慶油田1205掘削隊の隊員。(1月24日撮影、ハルビン=新華社記者/張濤)

 【新華社北京3月4日】中国エネルギー大手の中国石油天然気集団(CNPC)傘下で戦略研究を手がける国家ハイエンド・シンクタンクの中国石油集団経済技術研究院はこのほど、北京で「2023年石油・天然ガス産業発展リポート」を発表した。要旨は次の通り。

 世界のエネルギー発展は23年、国際枠組みの変動・変革期、異常気象による災害の頻発期、エネルギー産業の低炭素への転換期、次世代の技術イノベーション急増期の四つが重なり、複雑な環境にあった。国際エネルギー価格は全体的に下落し、石油は20%近く、天然ガスと石炭は50%以上落ち込み、炭酸リチウムと太陽電池モジュールの価格も50%以上下がり、世界経済の成長維持、特にインフレの抑制に大きく寄与した。エネルギー転換が競争の中で加速しており、化石エネルギーの割合が初めて80%を割り込んだ。

 中国では23年、エネルギー供給が充足して安定し、エネルギー安全保障の能力は引き続き向上した。原油産出量は2億トンを保って6年連続で増加し、天然ガスは2353億立方メートルと、7年連続で100億立方メートル以上の増産となった。消費量は石油が前年比11.5%増の7億5600万トンで過去最高を更新し、石油製品が9.5%増の3億9900万トンと、19年の水準に迫った。天然ガス消費量も増加に転じ、6.6%増の3917億立方メートルに達した。資源開発が引き続き強化され、原油・天然ガスの開発投資は10.0%増の約3900億元(1元=約21円)だった。確認埋蔵量は石油が約13億トン、天然ガスが1兆立方メートル近く増加した。石油精製能力は緩やかに伸び、年間9億3600万トンに達した。石油製品の生産能力は増強され、製油所の稼働率は79.1%となった。市場主体(企業や事業者)の多角化発展が一段と進んだ。

中国石油天然気集団傘下シンクタンク、産業発展リポート発表

黒竜江省撫遠(ふえん)市にある中国最東端のガソリンスタンド。(2月2日、小型無人機から、撫遠=新華社記者/王建威)

 中国のエネルギー転換のペースは引き続き加速し、新型エネルギー体系の建設は基盤構築期に入った。電動化が進み、グリーン水素、新型エネルギー貯蔵プロジェクトの発展が勢いを増している。独自の特色を持つ石油・エネルギー企業の転換モデルが形成され、原油・天然ガスと新エネルギーの融合発展に多くの新モデルが生み出されている。

 24年の展望については、地政学的リスクによる不確実性が高まり、高インフレや高い金利水準の圧力も重なって、世界経済は依然として大きな下振れリスクにさらされる。エネルギー商品価格の変動が続き、エネルギー産業は大国間競争の重要分野となる。世界のエネルギー危機がもたらす安全面の不安により、各国政府と企業はクリーンエネルギー技術の発展を一層重視するようになる。

 中国経済の持続的な回復と上向きは、石油需要の増加を支える。24年の石油需要は安定を保ちながら増加し、石油製品需要のピークアウトは25年までに前倒しされる可能性が高い。新型エネルギー体系の構築が進む中、天然ガスは経済・社会の全面的なグリーントランスフォーメーション(GX)を支える重要エネルギーとなり、汚染度の高い燃料を持続的に代替し、新エネの規模拡大をサポートしていく。

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