国際女性デー2024、その目的や歴史、テーマをわかりやすく解説。3月8日は各地でイベントも

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3月8日は「国際女性デー (International Women’s Day )」。

この日が生まれ、発展してきた背景には、労働条件の改善や政治参加を訴え、立ち上がった女性たちの存在があった。3月8日前後は世界各地でデモや記念行事が開かれる。

国際女性デーが制定された目的や歴史、そして2023年のテーマを国連の資料などをもとに振り返る。

国際女性デーのデモに参加する女性たち(2023年3月8日、チリ・サンティアゴ)

制定された目的や経緯は?

国際女性デーは、国や民族、言語、文化、経済、政治などを問わず、女性たちが達成してきた成果を認識する日だ。

その始まりについて、国連広報センターは、1900年代初めに北米やヨーロッパで起きた労働運動に端を発していると解説している。

1908年、アメリカ・ニューヨークで縫製労働者の女性たちがデモ行進を行い、労働条件の改善を求めた。翌1909年2月28日、こうした女性たちの運動に敬意を表し、アメリカ社会党は初となる「全米女性の日」の記念行事を開いた。

こうした女性運動は、ヨーロッパでも発展していった。

デンマーク・コペンハーゲンで1910年、国際社会主義女性会議が開かれた。会議の目的は女性の参政権を実現するための運動を盛り上げるためだった。この会議でドイツの女性解放運動家クララ・ツェトキンらが国際的な性格を有する「女性の日」の創設を提案し、17カ国から参加した女性100人以上によって全会一致で承認された。

クララ・ツェトキン (1924年3月)

1911年3月19日、オーストリアとデンマーク、ドイツ、スイスで、初となる「国際女性の日」の記念式典が行われた。当時、100万人を超える人々が集会に参加したとされる。そこで参加者は、女性の選挙権や労働権、性差別の是正を訴えた。

1917年にはロシアの女性たちが「パンと平和」を求め抗議とストライキを決行。行われたのはグレゴリオ暦(現在使用されている暦)で3月8日だった。

1945年には、男女平等の原則を確認する、初めての国際的な合意となる「国連憲章」が採択された。

「国際婦人年」の1975年3月8日に国連で「国際女性デー」が提唱され、1977年に議決された。毎年3月8日前後は、世界各地で記念行事が開かれる。

「ミモザの日」とは

3月8日は「ミモザの日」とも呼ばれ、ミモザがシンボルとして親しまれている。

イタリアでは男性が女性に敬意を込めてミモザを贈る慣習があり、近年は日本国内でも黄色い花が街を彩る様子が各地で見られる。

大統領官邸で行われた女性兵士による衛兵交代式で、鎖に飾られたミモザの花に触れる少女(2019年3月8日、イタリア・ローマ)

2024年の国際女性デーのテーマは?

2024年の国際女性デーのテーマは「女性に投資を。さらに進展させよう」。

ジェンダー平等を達成するために、資金不足は大きな課題の一つだ。UN Womenによると、ジェンダー平等のための取り組みへの資金が年間3600億米ドル(約51兆6565億8000万円)も不足しているという。

また、新型コロナウイルスの感染拡大や紛争、気候変動による災害、経済の混乱などにより、深刻な貧困状態に追い込まれる人が増加。2030年までに3億4200万人を超える女性と少女が、貧困準以下で暮らさなければならなくなる可能性があり、早急に手を打つ必要がある。

一方、女性の貧困や不平等を削減するための活動をするフェミニスト団体は、ODA(政府開発援助)総額のわずか0.13%しか支援されておらず、資金が全く足りていないのが現状だ。

UN Womenは「今こそ女性に投資しよう」と呼びかけている。

日本の現状は?2023年の「ジェンダーギャップ指数」

世界経済フォーラムが男女格差の大きさを国別に測って比較する「ジェンダーギャップ指数2023」によると、日本は調査対象となった世界146カ国中125位。前年の116位からさらに順位を下げる結果となった。

特に政治分野は「世界で最も低いレベル」と指摘されている。全体のギャップ指数において、日本はG7の中でも、東アジア・太平洋地区19カ国の中でも最下位だった。

ジェンダーギャップ指数2023

3月8日は各地でイベントも

3月8日当日には世界中でイベントが予定されている。

東京都内では「ウィメンズマーチ東京」がジェンダーに基づく差別や暴力に反対するアクションとして、国連大学前広場から神宮通公園までを歩くマーチを開催予定だ。

▼参考資料

・朝日新聞デジタル:「国際女性デー」ってどんな日? 国によっては贈り物も

・国際連合広報センター:国際女性の日(3月8日)制定に至る歴史とは

・United Nations:International Women’s Day

・UN WOMEN日本事務所:国際女性デー2024 女性に投資を。さらに進展させよう。

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