SKE48、16年目に見せる「新境地」 異例の「ザ・失恋ソング」にメンバーの思いは【インタビュー】

名古屋・栄を拠点にするSKE48が、2024年2月28日に約8か月ぶりの新曲「愛のホログラム」を発売した。センターポジションは前作「好きになっちゃった」(23年7月発売)に続いて末永桜花さん(22)が務める。

はつらつとした、前向きな明るい楽曲が多いSKE48としては珍しい「ザ・失恋ソング」。末永さん、北川愛乃さん(23)、野村実代さん(21)、原優寧さん(22)4人に、2回に分けて新曲への思いや、16年目に突入したグループ活動への意気込みを聞いた。(聞き手・構成 J-CASTニュース編集部 工藤博司)

歌詞で描かれているほどの「泣ける失恋」、いつかしてみたい

―― SKE48の楽曲は、明るい前向きな楽曲が多いという印象を持っています。先ほど、ミュージックビデオ(MV)のメイキング動画を拝見しましたが、これまでとは、かなり雰囲気が違いますね。

末永: 今までのSKE48になかったタイプの失恋ソングになっています。最初はピアノの音で明るめに入りますが、一気にしんみりとする歌詞になって、孤独な主人公が描かれています。

―― 歌詞には「目に見えるものの全ての色を失った」といった、かなり悲観的なフレーズもありますね。

北川: 私もSKE48史上一番と言っていいぐらい「ザ・失恋ソング」だと思いました。「金の愛、銀の愛」(16年)も結構シリアスで暗いイメージの楽曲だったと思いますが、それとはまた違うシリアスな曲ですね。

野村: 普段だったら、歌詞を読むときは、曲を自分なりにどう解釈してどう共感してみようかな...と考えたりするのですが、「ザ・失恋」すぎて...。この曲の中の主人公は、好きな子が目の前からいなくなっちゃって絶望的な様子が歌詞から受け取れるので、初めて共感するのに戸惑った楽曲でした。SKE48の楽曲はすごく振り幅があって、それがいいなと思うので、今回もめげずに立ち向かってやろうと思って、必死に自分なりに解釈して臨みました。感情を爆発させるだけではなく、真顔でそれ(解釈)を表現するのがすごく大変でした。自分もこれぐらい「泣ける失恋」を、いつかしたいと思っています。これぐらいの失恋を経験すれば、生きているという実感が得られるとも思うので、ちょっと「いいな」と思っちゃいました。

レコーディングは「めちゃくちゃ良かったよ!」と褒めて伸ばす

「愛のホログラム」(2月28日発売)のMVは、グリーンを背景に撮影する場面が多かった (c)Zest, Inc. / AMC

―― 原さんは2回目の選抜です。

: 今まで私がSKE48に入ってパフォーマンスしてきた楽曲は、恋愛ソングであれば「好きになってハッピー」といった前向きな曲が多く、私はどちらかといえばニコニコ笑顔で踊る方が得意です。今回はそういうものとはかけ離れていて、表現が難しかったですね。

―― 楽曲をリリースする際には、(1)マイクの前でレコーディングする(2)カメラの前でMVを撮る、という大きく2つのプロセスがあると思います。これまでの楽曲とはかなり雰囲気が違うとのことでしたが、レコーディングでは厳しく指導されたりしたのですか?

末永: レコーディングをしてくださる方はすごく愉快な方なので、逆に「めちゃくちゃ良かったよ!」って、褒めて伸ばしてくださいました。

野村: 自由にやらせてくれますよね。

末永: 少し違った時も、明るく「こうしてみよう!」みたいな感じで言ってくださるので、楽しくレコーディングさせていただきました。

―― MVはミニチュアの世界がテーマだと聞きました。センターの末永さんと他のメンバーでは、だいぶ役回りが違っているようですね。

末永: 自分の頭の中で思い浮かべていることを、ミニチュアになったメンバーで再現している、という構成です。

―― つまり、末永さんの思いのままにメンバーが小さくなって踊っていると...。

末永: いくつかのグループに分かれて踊っています。鍵盤の上で飛び跳ねている場面もあれば、大きくなった小道具、例えば大きくなった眼鏡のレンズの水滴を前にダンスをするメンバーもいます。

野村: 今作品も、(振り付けユニットの)CRE8BOY(クリエイトボーイ)さんが振り付けしてくださいました。オルガンの上で私達が踊るシーンがありますが、足でステップを踏みながら奏でている、といった振り付けになっています。そういった、MVのシーンごとの細かい振り付けまで全部やってくださいました。

―― 印象的なシーンはありますか。

野村: 私と中野愛理ちゃん(22)で眼鏡のレンズ越しにシンメで(対称になって)踊るシーンです。上から涙が垂れていて、それを見つめながら、でも真顔でやらなきゃいけなくて...。2人で目を合わせるシーンなんですが、笑っちゃうんですよ!めちゃくちゃ笑っちゃってレッスンのときからなかなかうまくいかなかったのですが、やっぱり本番の撮影になると、ひとりの人形になりきることができました。プロだなって思いますね、自分自身もらぶりん(中野さん)も。(笑)

グリーンバックでの撮影多め、ネイルの色は「緑はやめましょう」

末永桜花さん。2作品連続でセンターポジションを担当する

―― 今回は背景がグリーンのスクリーンになっていました。

野村: ほぼ1日MV撮影があって、ちゃんと組み立てられたセットで撮ったのは本当に一瞬でしたね。ほぼ1日グリーンバックで、すごく目に優しい感じでやらせてもらってました。(笑)

―― 普通に撮るのと比べて複雑だったり、特に気をつけたことはあるのですか?

末永: 特別なことはなかったのですが、あえて挙げるとすれば、ネイルの色について「緑はやめましょう」みたいなのは事前に言われていました。

野村: それは気をつけましたね。

―― 爪が透明になりますからね...! 合成といえば、レコード盤の上を歩くシーンも興味深いです。

: 私のチームが、そのシーンでした。演じているときは全然どうなっているか分からなかったのですが、表でモニターに映っていた映像ではCGと合成されたものが映っていて、ちゃんとミニチュアになってレコードに乗って踊っていたので、「こんな感じでできるんだ!」と思って、ちょっと衝撃的でした。

センターは「いいものです!いいものだし...」

野村実代さん

―― 末永さんは前作に続いてセンター続投です。1回目と2回目では、レコーディングにしてもMV撮影にしても、気分は違うものですか。

末永: 1回目は緊張や心配事がありましたが、2回目は純粋に、心構えをした上でMVに挑めた、ということがあります。今回、私だけのシーンも結構あったので、こんなに撮ってもらえることはないだろうなということで、純粋にMV撮影を楽しみました。

―― 続投できたのは1回目のセンターが良かったからでしょうか。どう受け止めていますか。

末永: 応援してくださるファンの皆さんが支えてくださって、温かい声を皆さんからいただけて...、そのおかげかなと思います。

―― 1回センターに選ばれると、半年間は「センター」という肩書きがついて回ります。末永さんにとって、この半年で周りの環境は変わりましたか。例えば仕事が増えるとか、握手会の人が増えるとか...。このセンターって、やっぱり「いいもの」ですか。

末永: いいものです!いいものだし、なんだろう...やはりファンの皆さんと喜びを分かち合えたり、「SKE48のセンターです」と紹介していただくことが多かったので、より一層身の引き締まる思いですし、SKE48のセンターとして頑張らなきゃ、という気持ちがより高まりました。なかなか見られない景色をたくさん見させていただいたと思います。

―― 末永さんは2回目のセンターですが、原さんは2回目の選抜ですね。前回は加入したばかりでの抜擢でしたが、2回目ということで緊張はほぐれましたか?

: だいぶほぐれたなと思っています。前回はMV撮影の流れも何もつかめないままで、ずっと脳内パニックを起こしてるみたいな状態で撮影していました。今回はちゃんと脳みそが落ち着いてMV撮影に挑めたというか...。前作は休憩もずっとパニックみたいになっていましたが、今回は休憩時間はちゃんと休んで切り替えて...というのができたと思っています。

(インタビュー後半に続く。3月5日掲載予定です)


末永桜花さん プロフィール
すえなが・おうか 2002年生まれ、愛知県出身。15年に7期生としてSKE48に加入。Team E、派生ユニット「SKE48 プリマステラ」メンバー。20年、23年にソロコンサートを開いた。前作「好きになっちゃった」(23年7月発売)に続いて2作連続でシングル曲のセンターポジションを務めている。

北川愛乃さん プロフィール
きたがわ・よしの 2001年生まれ、大阪府出身。16年に8期生としてSKE48に加入。チームSメンバー。愛称は「よこにゃん」。

野村実代さん プロフィール
のむら・みよ 2003年生まれ、愛知県出身。16年に8期生としてSKE48に加入。Team S、派生ユニット「カミングフレーバー」メンバー。「KORE-SUKI!RADIO」(TOKAI RADIO)にレギュラー出演中。愛称は「みよまる」。

原優寧さん プロフィール
はら・ゆうね 2001年生まれ、福岡県出身。22年に11期生として加入。11期生では最年長で、九州の大学に通いながら建築を学んでいる。

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