スイス中銀、23年は36億ドルの損失 マイナス金利脱却などで

John Revill

[チューリヒ 4日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は4日、2023年の収支が32億スイスフラン(36億2000万ドル)の損失になったと発表した。マイナス金利からの転換による利払いが負担となった。

スイスフランのポジションで85億スイスフランの損失を計上した。商業銀行のオーバーナイトの資金に対する利払いが主な要因。保有外国債券・株式からの利益もスイスフラン高により大幅に減少した。

外貨のポジションによる利益は40億フランだった。保有する金の評価益は17億フラン増加した。またクレディ・スイスに対する緊急融資の受取利息として14億フランを得た。

全体の収支は過去最大だった22年の1325億フランの損失から大幅に改善した。だが政府や株主への配当金支払いは2年連続で見送った。

J・サフラ・サラシンのエコノミスト、カーステン・ユニウス氏は「スイス中銀は他の中銀よりも早くインフレ率を目標に戻し、責務を明確に果たした」と指摘。「金融政策の成功は明らかなため、配当見送りが中銀への政治的圧力につながることはないだろう」と述べた。

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