3人が巻き込まれた大山雪崩 "新幹線並みの速さ"「表層雪崩」が起きやすい状態か 冬山ガイドが警鐘「登山道から離れたところは雪崩が起きやすい」

2日午後、鳥取県大山で登山中の男性3人が雪崩に巻き込まれる事故がありました。雪崩が発生した当時、大山はどのような天気だったのでしょうか。冬山ガイドは、登山道から離れたところは雪崩が起きやすいと、注意を呼びかけます。

警察によりますと、雪崩に巻き込まれたのは、福岡県福岡市在住の3人です。

3人は2日午前8時半ごろから、冬山のロープ訓練などを行うため、登山を開始。

しかし、雪の状態が悪かったことから訓練を中断し、下山するため八合沢から七合沢にかけて斜面を横断していたところ、雪崩が発生し巻き込まれたということです。

当時の大山は、どのような天気だったのでしょうか。

石川博康 気象予報士
「当時、山陰地方は真冬並みの寒気が流れ込んでいて、大山では雪の量が急激に増えたんですね」

鳥取県の大山では、1日の夕方ごろから雪が降り続きました。

アメダスによりますと、雪崩が発生した2日午後までに、新たに約40センチの雪が積もりました。

石川博康 気象予報士
「こちらは当時の天候を表した画像です。大山では雪が降り続いていたのが分かりますし、あと風ですね。北寄りの風が山に吹きつけているのが分かります」

また、大山を含む鳥取県西部には、2日午前6時半ごろから、なだれ注意報が発表されていました。

石川博康 気象予報士
「急激に増えた雪や、風による吹きだまりなどができると、雪が崩れやすくなって表層雪崩という現象が起きやすくなるんです」

「表層雪崩」とは、新たに降り積もった雪が、古い雪の表面を滑り落ちる現象です。

そのスピードは、新幹線並みの時速200kmに達することもあるといいます。

雪崩の危険性は、冬山ガイドも感じていました。

LADY BIRD mountain guide service 小林佳崇さん
「3日は、2日・1日に降った雪が50・60センチ新雪が降ってまして、それまで暖かくて雪がとけた状態の上に新しい雪が乗っているので、雪の質はあまり良くなくて。ちょっとリスクの高いような雪と、あと、翌日の3日は暴風で大変でした」

大山などで冬山ガイドを行う小林佳崇さん。

雪崩が起きた翌日の3日も登山道を通って朝からガイドを行っていましたが、七号目で引き返しました。

大山は天候が急変しやすく、特に登山道以外は注意が必要だといいます。

LADY BIRD mountain guide service 小林佳崇さん
「大山の場合は、登山道上は雪崩のリスクが少ないですが、登山道から離れたところ、谷の地形とかは雪崩が起きやすいです」

3人の男性が雪崩に巻き込まれたのも、登山道以外の場所とみられています。

そして今回、大山でロープ訓練が実施されたのには、こんな理由があるといいます。

LADY BIRD mountain guide service 小林 佳崇さん
「西日本の山で、これだけ雪があってロープを使って登はんをするエリアって少なくて、やっぱり関西・岡山・九州の方はここで練習をして北アルプスに行く。そういうのもあります」

冬山登山をする際は、登山届の提出はもちろん、事前に気象情報をしっかり確認し登山ルートを決めること。

雪崩が起きても現在地を知らせる「ビーコン」も必ず携帯するようにしてください。

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