きりり辛口「鬼渡」 一関・上油田プロジェクト 初の日本酒完成 コメ作り、醸造、デザインオール花泉で

上油田酒造りプロジェクトで完成した「鬼渡」を手にする菅原代表

 一関市花泉町油島の上油田集落有志が初めて取り組んだ「上油田酒造りプロジェクト」による日本酒が完成した。集落内にある美渡神社の昔の呼び名にちなみ「鬼渡(おにわたり)」と名付けられた新酒は720ミリリットル入りで420本製造。集落内で先行予約を受け付けているほか、8日からは地元酒造会社から一般販売される。

 プロジェクトは、少子高齢化や農業の担い手不足などで地域づくりの方向性が見いだせない中、酒造りを通して集落の人たちが楽しみながら協力し合える取り組みを進めようと、中山間地域等直接支払い制度交付金を活用し企画。2023年5月に油島字柿ノ木地内の水田約12アールで行われた田植えでは参加者が県オリジナル酒造好適米「吟ぎんが」の苗を手植えし、9月には酒米480キロを収穫した。

 醸造を同町涌津の磐乃井酒造(東海林明弘代表取締役)に依頼したほか、ラベルのデザインは同町涌津出身のグラフィックデザイナー小林萌奈さん(25)が担当し、2月にオール花泉の新酒が完成した。

 地域住民らを招いたお披露目会が3日、同町花泉の宿泊交流研修施設花夢パルで開かれ、関係者や来賓を含む36人が出席。乾杯後に味わった地元産の新酒に出席者からは「辛口でしっかりとした味わいがあり、おいしい」との声が聞かれた。

 プロジェクト実行委の菅原文悦代表(73)は「地元で造った新酒をぜひ多くの人たちに楽しんでほしい。酒造りは2年目の今年も取り組む」と意欲を見せる。

 「鬼渡」はアルコール度数15度で税込み1705円。問い合わせは同社=0191(82)2100=へ。

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