生活費月12万円のショコラさん。退職後の家計はどう変わった?増えたもの、減ったものを聞きました

「リビングに置いたパソコンでブログを書きます」コンパクトな折り畳みテーブルは、場所をとらず移動もラク。

仕事と節約生活を車の両輪にして走り続けてきたショコラさん。日々の暮らしを発信する人気ブロガーとしても大活躍です。2023年3月に、長年続けてきた仕事をやめて、年金中心の生活になりました。退職後の家計の変化や支出の内訳について、お話をうかがいました。

★前回はこちら★

PROFILE
ショコラさん
しょこら●1956年生まれ。結婚後、2男の子育てと家事をこなす。42歳で別居。営業職で自活し、4年半後に離婚。60歳のときに、日常をありのままに綴ったブログ「60代一人暮らし 大切にしたいこと」を始める。著書に『65歳から心ゆたかに暮らすために大切なこと』(マガジンハウス)などがある。

退職後の生活を支える3本柱。年金、予備費、老後資金

42歳でひとり暮らしを始めてから、13年勤務した正社員の仕事の後、10年続けてきたパートの仕事を昨年3月に晴れて卒業したショコラさん。家計はどう変化しているのでしょうか。まずは、ショコラさんの家計に対する向き合い方をうかがうと——。

「50代になった頃から、将来年金生活になっても心豊かに暮らせるようにと考えて、働けるうちはがんばって仕事をし、徐々に貯金もしてきました」

老後の年金受取額をシミュレーションしたところ、企業年金と国民年金、厚生年金を合わせて、手取りで約12万円という試算に。家計簿もつけていたため、12万円あればだいたいひと月の生活費をまかなえることがわかっていました。

「そこで、老後の生活の練習もかねてひと月の生活費は12万円と枠を決め、節約しながらやりくり。仕事をやめた今も、多少の増減はあっても、月に12万円という大枠は変えずにいたいと思っています」

ショコラさんは、月12万円の生活費が不足したときのために、「予備費」と「老後資金」を用意して、家計全体を3本柱で考えているといいます。

「予備費と老後資金は、マンションの繰り上げ返済をしながら50代の頃から節約や先取り貯金をして、計画的に準備してきました」

予備費は、家電の買い替えや旅行など、臨時の支出があるときに出動させます。
「前回お話しした給湯器の交換費用は、予備費から出しました」

一方、老後資金は、年金だけでは不足した場合の安心材料として、ひと月分2万円×20年分と目標を設定し、50代半ばからきりつめて貯金。今のところ極力手をつけずにおきたい資金です。
「老後はなるべく無理やがまんをしないで、のびのびと過ごしたい、という思いがあったからです」

【退職後の生活を支える3本柱】
①毎月の生活費
年金収入(企業年金、厚生年金、国民年金)12万円……現在の年金額はトータルで手取り12万6000円だが、12万円を基本枠として設定。

②予備費
家電の買い替えや冠婚葬祭、旅行費用など、臨時出費のための資金……正社員をやめたときの退職金の一部と、60歳から受給している企業年金、65歳以降のパート収入、臨時収入などをプール。

③老後資金
年金では不足したときのための資金……50代半ば頃から、老後のために目標額を設定し、ボーナスの大部分と給料の半分などを計画的に貯蓄。いざというときのために手をつけずにキープ。

12万円の年金収入はいわば大黒柱。それを予備費と老後資金という2本の柱で支えてサポート役にする、という資金計画です。
「おかげで、節約生活を続けていても気持ちにゆとりをもって暮らせるのかもしれませんね」

退職後の家計はこうなりました

ショコラさんの家計全体についての考え方がわかったところで、最近のひと月の収支内訳を教えていただきました。
「去年、年金支給額が少し上がって、手取りで月額12万6000円になりましたが、今までどおり12万円の枠内でのやりくりを基本に考えています」
12万円の予算は、以下の3つのカテゴリーにざっくり分けています。

●固定費6万円
●食費2万円
●生活費4万円

「固定費の6万円は、マンションの管理費や光熱費などの費用として銀行口座に残しておきます。残る6万円は現金で引き出して、食費2万円、生活費4万円(日用品や美容、医療費、被服費、趣味娯楽費など)にあてています」

現在のひと月の家計を具体的な数字で教えていただきました。
●固定費 予算6万円
・マンションの管理費(WIFI代含む)、修繕積立金、固定資産税(月割り)など……3万2330円
・ガス、電気代(東京ガスでまとめて支払い。1年間の平均)……8348円
・水道代(ひと月分)……1900円
・保険(都民共済、がん保険)……5692円
・スマホ代(オプションを見直し。かけ放題を解約)……2600円
・Suica オートチャージ代(息子や友人とのおでかけ時に)…… 6000円
・NHK受信料(月割/受信料が270円値下げに)……1950円
・Amazonプライム会費(月割)……409円
小計…… 5万9229円

●食費 予算2万円
・食材費・自分ひとりの軽食代……1万7800円

●生活費 予算4万円
・友人や息子たちとの外食代や銭湯などの趣味娯楽費(やや増加)……1万1000円
・化粧品、美容院、歯の健診など、美容・医療費……5790円
・被服費……4990円
・日用品、花、手土産などの雑貨類……1万5300円
・灯油代……2000円
小計……3万9080円

総計 …… 11万6109円

長年家計簿をつけていましたが、月の出費がほぼわかってきた6年ほど前に、細かな記帳はやめました。現在は、ダイソーで買った出納ノートに、旅行費用や友人や息子さんたちとの会食などの交際費、美容室代など、記憶しておきたい出費のみをメモしています。

退職後の支出の変化は?

まず、増えた費用は——
「生活費のうち趣味娯楽費がアップしています。月に3~4回は、友人や息子たちとおでかけしたり外食したり。集まる回数は退職前とさほど変わらないのですが、最近では外食が値上がりして、ランチ会もひとり3000円前後が相場。友人が2000円台で食べられるお店を探してくれますが、それでも以前より2000円~3000円アップして、1万1000円~1万2000円くらいになりました」

友人や息子さんたちなど「だれかと一緒の外食」は楽しむための時間なので、食費ではなく趣味娯楽費からの支出にしています。
昨年、長男夫婦に初孫が生まれ、お食い初めの会食に出かけたり、施設にいるお母さまを訪ねたりすることも増えています。
「よく出かけているので、交通費はアップ。以前は3000円で済んでいたSUICAのチャージ代が6000円になっています」

食費の変化はどうでしょう。
「退職後は、朝昼兼用にすることもあるので、出勤していたころとさほど変わらず、だいたい2万円の予算内でおさめるようにしています。散歩中にひとりで喫茶店に入って飲むコーヒー代や、ひとりランチ用に買うお弁当などは、食費から出していますが、あまり変化はないですね」

では、減った費用は?
「固定費を圧縮できないかと見直して、固定電話を解約。その後、3000円台だったスマホ代を見直して、かけ放題もやめたのですが、まだ請求が来ていないので現在は2600円です。この月は固定費がぎりぎり6万円の予算内でおさまりましたが、ちょっと出ちゃう月もありますね」

固定電話は解約するとなんとなく不安になる人や、スマホのプラン変更も手続きが面倒でなかなか踏み切れずにいる人も多いはず。

「私も悩みましたが、固定電話には営業の電話がかかってくるだけですし、自分で固定電話を利用する機会と言ったら、自分のスマホの置き場所を忘れたときくらい(笑)。実際、なくても困らないですね。スマホのかけ放題をやめると、700円くらい安くなります。ただ、自分からかけるときは、長電話をしないように気をつけないとね」

ここまでの生活関連費は、12万円でおつりが出る金額でした。

ジムの費用と保険料は予備費から

このほか、退職後に増えた支出もあります。

「昨年4月に区のお試し料金で始めたスポーツジムが気に入り、8月から入会したので、ジムの費用の1万500円が加わりました。また、退職前にはお給料から天引きされていた健康保険料は、2年まで有効の任意継続保険に変えました。会社で負担してくれていた部分がなくなり、毎月9800円を支払っていますが、今後は負担が軽くなると思います。

ジムの費用と健康保険料は、今のところ予備費から出しています。
「本当は予備費からではなく、12万円の枠内でおさめたいところですよね」
そこで、生活枠の支出を調整して、ジムの費用を趣味娯楽費から出せるようにしたいと考えているそうです。

「でも、趣味娯楽費などの生活費はなかなか削れないの。そこで、固定費をさらに見直して、保険を解約しようかと思っているんです」

「がん保険3692円と都民共済2000円、合わせて5692円。20年もかけていますが、一度も使ったことがないんですよ。昨年11月、足の指を骨折して通院していたときに、都民共済に問い合わせてみました。ケガの通院でも1日1000円くらい出る契約だと思っていたら、ケガの通院保障は64歳までで、65歳以上になると入院のときだけ。保障内容は年齢によって変わるんですよね。かけていてもあまりメリットがないかな、と思う一方で、保険をやめるのはすごく怖いんですよね。優柔不断(笑)、まだ考え中です」

2つの財布で現金管理。残高を見える化しています

写真手前はダイソーで買った食費用の財布。食費2万円を1000円札や小銭にくずして入れておき、家で保管。写真奥の財布は、退職時の記念に日比谷のショップで買ったもので、外出用に。こちらには現金で4万円を入れ、買い物をしたら現金で支払います。

月12万円のうち、固定費以外の6万円は2つの財布で管理しています。

「6万円は現金で引き出して、食費用の2万円とその他の生活費の4万円を2つの財布に分けて入れ、現金管理しています。こうすると、食費と生活費、それぞれの残高が一目でわかって、使い方を調節しやすいんですね。

実は、以前、6万円の生活費を週1万5000円ずつお財布に入れて、そこから食費も生活費も出していたことがあったのです。でも、食費とその他をどの程度使っているのかわかりにくいし、足りなくなったときに次の週の分を入れると、残額も見えにくくて……。そこで、食費とその他の生活費を分けることにしたのです」

退職記念に買ったグレイッシュピンクの財布には、4万円の生活費を入れておき、外出時に持ち歩いて使います。

もう1つ、食費用の財布には2万円を入れて家に置いておきます。現金2万円は1000円札や500円、100円の小銭に崩しておくのがコツ。

「外出先で食材などを買ったときは、食費用の財布から、外出用の財布に使った分の現金を戻します。こうすると、食費があといくら残っているか一目でわかります。月の前半に少し使いすぎたな、と思ったら、後半はきりつめぎみに。支出の増減を調節しやすいので、使い過ぎを防ぐことができるのです」

食費以外の品物をクレジットカードで購入したときも、外出用(生活費)の財布から現金を出して、口座に戻しておくそうです。こうして、2つの財布でお金の出入りを「見える化」するのがショコラさん流。

ところで、食費用の財布から外出用の財布に食材費などを戻すのは、面倒ではないのでしょうか?

「毎日買い物はしないし、端数は気にせず100円単位にし、習慣になっているから全然面倒ではないんです。帰ってきたらすぐにレシートを見て、使った食費が2846円だったら、ざっくり2800円を外出用の財布に入れるだけ。月末に、財布の中に現金が予想以上に残っていたら、勝った! やったね! と思います(笑)」

次回は、物価高騰につき工夫していることをうかがいます。

撮影/橋本哲


© 株式会社主婦の友社