虎の未来に明るい光を照らした門別啓人と茨木秀俊の“道産子リレー”

◆ “金の卵”門別が満を持して登板

“道産子プロスペクト”が地元で虎の未来に明るい光を照らした。

春季キャンプ終了後、初のオープン戦となった2日のファイターズ戦の先発マウンドに指名されたのは、高卒2年目の門別啓人。

昨秋キャンプから岡田彰布監督がその潜在能力を高く評価し、今季のローテーション入りも期待される逸材だ。

北海道出身の19歳にとってプロ入り後初めて訪れた凱旋の舞台。指揮官はキャンプイン前の1月下旬の時点で「お披露目やね」と登板を確約していた。

初の1軍キャンプでも物怖じすること無く、ケガなく1カ月を過ごしてこぎ着けた待望の一戦。序盤から気合いがボールにみなぎった。

初回から2奪三振の発進で今春最長の4回を投げて2安打1失点。直球の最速は150キロを記録した。

高卒2年目では合格点と言える結果と内容にも能力の高さを知る指揮官は「まあ、普通やろ。フォアボールも2つ出しとったしな」と主力を評するようなコメントを並べた。

門別も登板後は反省しきり。「まっすぐもそうだし、変化球の精度にしても、スライダーが全然ストライクにならなかった」と今春課題に挙げていた球種の出来に首を振った。

リーグ屈指の陣容を誇るタイガースの先発陣に加わっても見劣りしない力と結果を示しているが、岡田監督は金の卵を大切に育てる方針。現状、他の選手にアクシデントが発生しない限りは6人制を敷くであろう開幕ローテーションには入れないつもりで“7番目”としてスタンバイする。

「開幕ローテはないと言われている中ですけど、それでも開幕ローテを目指したいと思っている。どんどん投げ続けてローテーションに入っていけたら」。それでも本人は結果を積み重ね、予定調和を崩す気概でいる。

◆ 地元でポテンシャルを示した茨木

そして、もう1人。地元から力をもらってアピールに成功したのは門別と同期入団の2年目・茨木秀俊だった。

同じく北海道出身の右腕は、6回から3番手でマウンドに上がって2回1安打無失点。自己最速となる150キロをマークするなど持てる力を出し切って岡田監督の目にも留まった。

今春は初の1軍キャンプスタートも第4クールから2軍で再出発。凱旋登板は厳しい状況になっていたが、遠征前に1軍に再合流しチャンスを得た。

北海道への出発前のブルペンは「全然やった(良くなかった)」と話していた岡田監督も「今日は良かったよ」と評価を“修正”して目を細めた。今後は再び2軍に戻って先発として経験を積んでいく予定。

「(地元で)良い雰囲気、良い気持ちで投げられたのが良かった。(門別とは)日頃から高め合っているので、もっと切磋琢磨しながらやっていければ」と決意を新たにした。

今季の即戦力になり得る門別と今後の再昇格を目指す茨木は、微妙に立場は違うが近い将来、2人が1軍の主力として躍動する可能性は十分ある。

2人の“リレー”にはタイガースの新時代が透けて見えた。

文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)

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