又吉直樹、ピストジャム、ファビアンら、よしもと本好き芸人が集結 新番組『第一芸人文芸部 俺の推し本。』レポ

■本好き芸人が集結

東京・北品川商店街の一角にある「KAIDO books&coffee」で、BSよしもとの特別番組「第一芸人文芸部 俺の推し本。」の収録が行われた。「第一芸人文芸部」部長の又吉直樹がオブザーバーを務め、部員のピストジャム、ファビアンをMCに、芸人たちが人に読んでほしいと切に願う“推し本”をプレゼンしあう“ブックバラエティ番組”である。

そもそも「第一芸人文芸部」は、部長を務める又吉のほか、吉本芸人の中でも屈指の本好きとして知られる、ピストジャム、あわよくば・西木ファビアン勇貫の3人よって構成されている。

さて、「第一芸人文芸部 俺の推し本。」は、誰でも開催できる本の紹介コミュニケーションゲーム“ビブリオバトル”をモチーフに、“推し本”を芸人ならではの独自の味付けを加えて進行。ビブリオバトルに興味がある方や本好きの方はもちろん、本にあまり触れてこなかった方々も楽しめる構成になっている。

今回の特番では、MCをピストジャムとファビアンが、オブザーバーを又吉直樹が務め、「第一芸人文芸部」が5月に発行する文芸誌に寄稿予定のメンバー(村上健志、トニーフランク、赤嶺総理)や、「第一芸人文芸部」がMCを務めるAmazonオーディブル「本ノじかん」のコーナーゲスト(バイク川崎バイク)といった、「文芸」にゆかりのある芸人たちが参加した。

■本の魅力を力説

冒頭のトークコーナーでは、又吉は部活動立ち上げの経緯についてと話したほか、参加メンバーは、それぞれ本好きになった理由について発表し、読書にまつわるエピソードを語った。

メインの推し本のプレゼンコーナーは、1人3分の持ち時間で行われた。ピストジャムは又吉部長の本の中にも登場する古川日出男の『アラビアの夜の種族』、赤嶺総理は物事を即物的に捉えているという鈴木ジェロニモの歌集『晴れていたら絶景』、トニーフランクは主人公が極限状態で自意識と向き合う西加奈子の『舞台』、村上健志は現代短歌ブームを牽引する伊藤紺の第3歌集『気がする朝』。バイク川崎バイクはキングオブコントで決勝にも進んだギースの高佐一慈の『かなしみの向こう側』を紹介。その都度、又吉が小説家の立場から適宜解説を加えた。

プレゼン後、出版社勤務の編集者6名の社員が、“読みたくなったかどうか”という基準で審査。票はかなり割れたが、意外な優勝者に会場は大いに盛り上がった。

■番組のレギュラー化も予定

参加メンバーが収録後に取材に応じ、ピストジャムは「芸人が集まって本の話をするのは普段ない機会なのでめちゃくちゃ楽しかった」と語った。また、芸人ならでは伝えられる本の魅力を、赤嶺総理は「芸人は面白いと思うアンテナが敏感で広いと思うので、いろいろな方面に本をすすめられるのでは」と考察。トニーフランクも、「芸人文芸部という称号を与えてもらったことで、本の話をしてもいい雰囲気になったのは良かった」と語った。

この発言を受けて、バイク川崎バイクは「『本が好き』と言うと真面目な人だとか、かっこつけるなというイメージがあるが、茶化してもいいし、難しい本があってもいい。向いている本を読めばいい。(この番組が)ライトに読書を始められるきっかけを作っていければいいのでは」と語った。

「第一芸人文芸部 俺の推し本。」は4月以降のレギュラー化を予定しており、学生が開催するビブリオバトルの現場を訪問したり、小さな町の書店や出版社への探訪、新人作家との対談など、本にまつわる様々な企画も予定しているという。本の魅力をこれまでの番組にはない切り口で、第一芸人文芸部と芸人たちがとことん掘り下げていくという、今までにないコンセプトの番組に期待したい。

(文=山内貴範)

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