関東住みですが将来は「マイホーム」と「子ども3人」欲しいです。どのくらいの年収が必要ですか?

5人世帯の1ヶ月の生活費は平均約34万円

まずは、夫婦と子ども3人の5人家族が暮らしていくのに、生活費はどのくらい必要になるのかを考えてみましょう。

総務省「2023年 家計調査」の結果によると、5人世帯の生活費の平均月額は約34万2000円です。1年間では、約410万円が生活費として支出されることになります。

ただし、このデータには65歳以上の高齢者がいる世帯が含まれていることや、1世帯当たりの18歳未満の子どもが約2人であることから、実際には子どもの食費や教育費などで、支出額がもっと大きくなる可能性も十分にあるでしょう。

例えば、本データの1ヶ月の教育費支出は月額約3万円ですが、文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」の結果をもとに試算すると、小学校1年生、4年生、中学校1年生の3人の子どもがいる場合の1ヶ月の教育費は、平均10万円以上かかる計算です。また、教育費は子どもの学年の変化に合わせて大きく変動する支出でもあります。

子ども3人を大学に入れるなら費用はそれぞれ480~800万円以上必要

毎月の教育費に加えて、子ども3人の進学費用の貯蓄も必要です。ここでは、最もまとまった金額が必要になる可能性が高い、大学進学費用を3人分貯蓄するケースについて考えてみましょう。

日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査」の結果によると、大学進学で必要な子ども1人当たりの費用(入学費用+在学費用)は、最も金額が低い国公立大学で約480万円、最も高い私立大学理系で約820万円です。

私立大学進学を視野に入れて3人分の費用をそれぞれ18年間で貯めようとするなら、1人当たり年間約45万円の貯蓄が必要になります。合計では、年間100~130万円前後は教育費の貯蓄に回したい計算です。

首都圏の住宅ローン返済額は平均約11~15万円

マイホームを持つ場合の住宅ローンの負担はどれくらいになるのでしょうか。住宅金融支援機構が発表している「フラット35利用者調査」の結果によると、2022年度に首都圏でフラット35を借り入れた人の予定返済額(月額)は図表1のとおりです。

【図表1】

住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」より筆者作成

建売住宅の平均返済額をもとに年間の返済額を計算すると、約150万円を住宅ローン返済に費やす計算です。親から土地を相続できるなどの事情があれば、もう少し必要な資金をおさえられる可能性があります。

子ども3人とマイホームが実現できる年収は?

統計データなどをもとに算出した平均的な支出額をもとに計算すると、生活費:約410万円+大学資金の貯蓄:約100~130万円+住宅ローン返済額:約150万円=660~690万円の手取り年収があれば、家計をギリギリで回せる可能性があります。額面では、年収850万円前後が必要と考えるとよいでしょう。

収入の1~2割を、教育費以外の貯蓄やいざというときの資金に回せる年収となると、手取り年収750~850万円程度(額面年収1000万円前後)が一応の目安になるのではないでしょうか。ただし、子どもの年齢や進学先、マイホームの金額などにより、試算とは全く異なる収支になる可能性もあります。あくまでも目安として考えましょう。

子ども3人とマイホームが欲しいなら高い年収と計画的な貯蓄が必要

子ども3人をしっかり育てて進学させ、マイホームの夢も手に入れるとなると、生活費や教育費、住宅ローンなどの支出は大きな金額になります。問題なく家計を回していくには、一般的に高収入といわれる年収が必要になる可能性が高いでしょう。

共働きを選択するかどうか、子どもはどのようなパターンで進学させたいか、どのようなマイホームが欲しいかなど家庭ごとの条件を整理して、より実情に合った数字でシミュレーションしてみることをおすすめします。

出典

総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 二人以上の世帯 2023年 表番号3-1
文部科学省 結果の概要-令和3年度子供の学習費調査
日本政策金融公庫 教育費に関する調査結果
住宅金融支援機構 フラット35利用者調査

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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