都区部物価、2月+2.5%に急伸 サービス価格は「持続的上昇傾向」

Takahiko Wada

[東京 5日 ロイター] - 総務省が5日に公表した2月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は106.2と、前年同月比2.5%上昇した。伸び率は1月の1.8%を大きく上回り、日銀が目標とする2%を再び上回った。政府の価格抑制策の影響が一巡、エネルギ価格の下落率が大幅に縮小したことが要因。サービス価格は前月比で上昇し、専門家からは持続的な上昇傾向が確かなものになりつつあるとの指摘が出ている。

コアCPIはロイターがまとめた民間予測(同2.5%上昇)と一致。市場で高まる日銀の早期政策修正観測を維持する結果となった。

<エネルギー価格、下落率が大きく縮小>

エネルギー価格は7.9%下落で、前月の20.1%下落から下落率が大幅に縮小した。内訳は電気代が4.9%下落、都市ガス代が16.4%下落でいずれも前月よりも下落率は小さかった。

宿泊料は33.3%上昇で、伸び率は前月の26.9%を上回った。前年に見られた全国旅行支援の影響の反動に加え、人手不足や中国の春節に伴うインバウンド需要が押し上げ要因。

一方、原材料高の価格転嫁で前年の伸び率が高かった反動が続き、生鮮食品を除く食料は5.0%上昇となり、2022年9月以来の低い伸び率となった。

コア対象品目522のうち、上昇が396、下落が76、変わらずが49、非調査対象が1。

UBS証券は、2月都区部CPIが予想通りだったとして、日銀が4月にマイナス金利とイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)を解除するとの予想を維持した。

<サービス価格、宿泊料と外国パック旅行費がけん引>

2月の生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は3.1%上昇で、伸び率は前月の3.3%を下回った。23年2月以来の低い伸び率。総合指数は2.6%上昇で前月の1.8%上昇を大きく上回った。

財・サービス別では、財価格が3.1%上昇と前月の1.5%上昇の2倍以上の伸び率となった。エネルギー価格の下落率縮小が影響した。

サービス価格は2.1%上昇で前月から伸び率は変わらず。宿泊料や1月の確報値からデータの集計が再開された外国パック旅行費が押し上げ要因。外国パック旅行費は2月、20年2月対比で70.3%上昇した。

UBS証の栗原剛・次席エコノミストはサービス価格について、前月比が0.2%上昇だった点に注目、「持続的な上昇の雰囲気が固められてきている印象だ」とした。

ただ、サービス価格の前年比伸び率2.1%のうち、宿泊費の寄与度が0.7%、外国パック旅行費の寄与度も0.4%で「宿泊費と外国パック旅行費の2品目だけでサービスインフレの半分を説明するという構図は若干不安定だ」と指摘した。

(和田崇彦)

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