【おもしろ小箱】 No.251「牧野富太郎博士と山口博物館」

▲「カラハナソウ」(牧野富太郎 1890年)

 牧野富太郎博士は、明治から昭和にかけて、日本の植物学の基礎を築いたすごい人ですが、最近までは植物関係の世界でしかあまり知られていませんでした。ところが、昨年テレビドラマで広く紹介されたことで、その功績が改めて見直されています。

 この機会に当館所蔵の牧野博士作製の植物標本を調べてみると、なんと1300以上もありました【写真は一例】。多くは県外で採集された植物ですが、中には山口県にまで来られて直接採集された標本もありました。当時の交通事情などを考えると博士の全国での採集の様子は驚異的で、常に経済的に困窮されていたのもよくわかります。

 当館には、その牧野博士の標本を含む100年以上も前の標本が多数あります。4月下旬からの企画展では、山口県の植物の紹介とともに、牧野博士などの明治時代の貴重な標本や資料も公開する予定です。

山口県立山口博物館 植物担当 杉江 喜寿

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