毎月給与から社員旅行費を「天引き」されています。旅行に参加せず、その分を返金してもらうことは可能でしょうか?

社員旅行費は返金される?

労働基準法第23条では「使用者は、労働者の死亡または退職の場合において、権利者の請求があった場合では、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない」と定めています。

社員旅行費を給与から天引きする形で会社が徴収し、管理している場合、それは貯蓄金や積立金と考えられます。つまり、社員旅行費は労働者のものです。そのため、旅行に参加しない労働者から請求があれば、会社側は速やかに返還しなければなりません。

ただし、会社が社員旅行費を徴収して管理するには、労働組合または労働者の過半数を代表する者と会社で労使協定を結ぶことが前提です。

もしも労使協定を締結していないまま管理を行っているなら、労働基準法第18条に抵触することになります。労働基準法第18条では「使用者は、労働契約に付随して貯蓄の契約をさせ、または貯蓄金を管理する契約をしてはならない」と定めているためです。

社員旅行費がどう管理されているかがポイント

先述したように、労使協定が締結されたうえで会社が管理しているなら、労働者が請求すれば社員旅行費を返してもらうことはできます。しかし、違う方法で管理されている場合はこの限りではありません。

一般的に、社員旅行にあてる費用を徴収するときは、会社ではなく社内の親睦会が管理を行います。親睦会が社員旅行費を管理している場合は、規約がどのようになっているかで変わってきます。

例えば「社員旅行に不参加の場合も返金はされない」といった内容が規約に盛り込まれていれば、返還を求めることはできません。

不参加者の旅行費の扱いが規約に含まれていないときや規約自体がない場合は返してもらうことはできるでしょう。「不参加の場合は返金する」旨が明記されているときも、もちろん返金してもらえます。ただし、旅行準備に関して発生した費用があれば、経費を引いたうえで返還されるのが一般的です。

このように、社員旅行費を返してもらえるかどうかは、管理がどのようになっているかがポイントになります。もしも、社員旅行費の管理について不明な場合は確認してみましょう。親睦会が行っているなら、まず規約がどのようになっているか確認することが必要です。

社員旅行費の返還は積み立ての管理方法で異なる

社員旅行費の積み立ては、2種類の管理方法があります。会社が管理を行っているケースでは、労働基準法第18条に抵触しないよう労使協定を締結しているのが一般的です。

その場合は、請求すれば返してもらえます。親睦会が管理しているなら、社員旅行に参加しないときの返還がどのようになるのか規約を確認してみましょう。規約によって返還可能かどうかが変わってきます。

出典

厚生労働省 労働基準法(昭和22年法律第49号)
名北労働基準協会 「社員旅行費等の積立金」について
e-Gov法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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