揺れる火柱に心願成就 豊崎の普賢院で「お籠もり」/八戸

激しく燃え上がる炎の前で行われたお勤め

 糠部(ぬかのぶ)三十三札所の第十五番札所として知られる、八戸市豊崎町の普賢院で2月26日、同寺院所有の秘仏「七崎山徳楽寺観音」を年1回ご開帳する法要「お籠(こ)もり」が行われた。観音像の前で火をたく「護摩」が厳かな雰囲気を醸し出し、参列者は心願成就を祈った。

 護摩は古代インドが発祥で、炎が燃え上がる光景は願いが成就される過程を表す。市内で実施している寺院は少ないという。

 お勤めの前に、品田泰峻住職による法話が行われ、お籠もりや七崎観音の由来などを解説した。

 当日は、県外から同寺院に縁がある僧侶4人が招かれ、午後8時にお勤め開始。品田住職が観音像の前で「護摩木」と呼ばれる札状の木片を燃やし始めると火柱が上がった。参列者は手を合わせ、神妙な面持ちで祈りをささげた。

 今年のお勤めでは、大般若経の経本をアコーディオンのように広げながらお経を流し読む「大般若転読」と呼ばれる形式が取り入れられた。疫病のまん延や天変地異の出来事が発生した時によく行われるという。

 品田住職は「伝統を大切にしながら、新しい試みも取り入れた。大雪の中、たくさんの人と尊い時間を共有でき、有意義だった」と振り返った。【全文】

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