【金鯱賞/危険な人気馬】“消し”はドゥレッツか、プログノーシスか……「不安要素を挙げればキリがない」

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今週は大阪杯へ向けた重要なステップレース、第60回金鯱賞(GII、芝2000m)が中京競馬場で行われる。

今年は菊花賞馬ドゥレッツァを筆頭に、レース連覇を狙うプログノーシス、中日新聞杯覇者のヤマニンサルバムや、新潟記念を制したノッキングポイント、約2年ぶりの出走となるヨーホーレイクなど、粒ぞろいの中距離巧者が集結し、ハイレベルな一戦となりそうだ。

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そんな中、5連勝で菊花賞を制したドゥレッツァが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

■菊花賞馬の距離短縮は鬼門

未勝利戦から一気の5連勝で、クラシック最後の一冠を制したドゥレッツァ。その菊花賞では積極的な競馬でハナを奪い、道中競られる場面もあり2~3番手に後退。そこでズルズル行くかと思いきや、脚を溜めて直線では爆発し、ダービー馬、皐月賞馬を相手に完勝。まさに“ルメールマジック”真骨頂のレースぶりだった。

今春は天皇賞・春を目標にここから始動。芝2000mは勝ち鞍もあり、不得手の距離ではないだろうが、3000mから一気の距離短縮となる点は、かなり気がかりな材料だ。

1984年のグレード制以降、菊花賞馬が次走に2000m以下のレースに出走したケースは、わずか3例しかなく、97年マチカネフクキタルは金鯱賞6着、07年アサクサキングスは大阪杯3着、13年エピファネイアは大阪杯3着と、いずれも勝利には至っていない。

ちなみに、天皇賞・春の勝ち馬が、次走で2000m以下のレースに出走したケースは、過去10年で4例あり、こちらも、20年フィエールマンが、次走天皇賞・秋での2着が最高着順となっており、長距離戦で高い適性を示した馬が、一気の距離短縮では、善戦こそするものの、勝ち切るのは至難の業だといえよう。

■疑問符が付く現4歳世代のレベル

現4歳世代のレベルについても、他の世代に比べて弱いのではないか、と囁かれつつある。皐月賞馬ソールオリエンスが、先日の中山記念で4着に敗退。ダービー馬タスティエーラは、まだ今年は未出走も、古馬初対戦となった有馬記念では、勝ち馬から離された6着に敗れた。

昨年の6月以降、芝2000m以上の古馬混合重賞で、現4歳世代の牡馬が勝利したのは、昨夏の新潟記念ノッキングポイントと、暮れのチャレンジCベラジオオペラ、わずか2頭のみで、今年に入ってからは、日経新春杯2着のサヴォーナや、京都記念2着のベラジオオペラなど、好走はあるものの、いまだ勝ち鞍はゼロ。4歳世代を代表するドゥレッツァが、低レベル世代と言われる声を払拭できるだろうか。

ちなみに、ドゥラメンテ産駒は、右回りコースの重賞では【19.8.7.71】とまずまずの好成績であるのに対し、左回りコースの重賞では【4.8.6.60】と、右回りに比べて大きく成績が落ちている。また、中京コースの重賞では【0.1.1.20】と、いまだ勝ち星はなく、コースへの相性の悪さも引っ掛かる。

今回のメンバーでは唯一のGI馬で、3月に開催されるようになった過去7年の金鯱賞で、1番人気の馬は【5.1.1.0】と、逆らえないパターンではあるが、一気の距離短縮や、父ドゥラメンテの相性の悪さ、世代レベルに疑問符が付く点や、馬格の小ささに対する59キロの斤量など、馬群に沈む要素は、上げればキリがない。人気ほどの信頼感はないを考え、今回のドゥレッツァは思い切って「消し」でいきたい。

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著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。

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