WHO、ガザ北部で「子供が餓死している」 現地視察の結果を報告

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は4日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区で、子供たちが餓死していると述べた。

WHOのチームは先週末、ガザ地区北部のアル・アウダ病院とカマル・アドワン病院を訪れた。テドロス事務局長によると、昨年10月初旬以来の視察だという。

テドロス氏は今回の視察での「ぞっとする調査結果」を

した。

それによると、食料不足により子供10人が死亡するなど、「深刻なレベルの栄養失調」が見られた。また、複数の病院が破壊されていたという。

ハマス運営のガザ保健省は3日、カマル・アドワン病院で少なくとも子供15人が栄養失調と脱水症状で死亡したと発表した。

ガザ地区南部ラファの病院では3日、子供1人が死亡したと、 パレスチナ自治政府の通信社WAFAが4日に伝えた。

「ぞっとする調査結果」

テドロス氏は、アル・アウダ病院とカマル・アドワン病院の視察で、「深刻なレベルの栄養失調や子供の餓死、燃料・食料・医療品の深刻な不足、破壊された病院の建物」が確認されたと報告した。同地区北部では推定3万人が食料やきれいな水がほとんどない中で暮らしている。

「食料不足により子供10人が死亡した」と、テドロス氏は投稿した。

WHOは「ガザ北部への定期的なアクセスを確保しようとしているものの」、前回から数カ月たっての訪問となったと、テドロス氏は述べた。

また、「アル・アウダ病院の状況は特にひどく、建物の一つが破壊されている」と付け加えた。

飢餓は「ほぼ避けられない」

国連の人道問題調整事務所(OCHA)の高官は先週、ガザ地区での飢餓は「ほぼ避けられない」と警告していた。

この高官によると、同地区全体で少なくとも57万6000人(人口の4分の1)が壊滅的なレベルの食料不足に直面し、北部では2歳未満の子供の6人に1人が急性栄養失調に苦しんでいる。

国連児童基金(ユニセフ)の中東・北アフリカ地域事務所代表のアデル・ホドル氏は、「栄養不良がガザ地区を襲い子供が亡くなるという、我々が恐れていたことが現実に起きている」とした。

「このような痛ましく悲惨な死は、人為的なものであり、予測可能であり、十分に防ぐことができる」と、ホドル氏は3日の声明で述べた。

ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を奇襲し、約1200人を殺害、253人をガザ地区へ連れ去った。イスラエルは報復としてガザ地区への大規模な空爆と地上作戦を開始した。

ハマス運営のガザ保健省によると、同地区ではこれまでに女性と子供を中心に3万500人以上が殺害された。

(英語記事 Children starving to death in northern Gaza - WHO

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