「医療保険は不要かも」とは思いつつ、なかなか解約できません。公的保障のみで何も準備していない人はどのくらいいますか?

公的な医療保険のほかに医療保障は準備すべき?

公的医療保険制度とは、病気やけがをした際に医療費の一部を公的機関が負担する制度で、日本国民は加入を義務付けられています。公的な医療保険のみならず、民間の医療保険に加入するなどして医療費の支出に備えて準備している人もいるでしょう。

本項では、公的な医療保険以外に医療保障について準備をしている人の詳しい割合や、準備内容について解説します。

自分で医療保障を準備している人の割合

生命保険文化センター「2023年度 ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査」によると、公的な医療保障以外に、医療保障を私的に準備している人は87.2%です。性別では、男性85.2%、女性は89%の人がなにかしら準備しているとの調査結果が出ています。年齢でいうと、もっとも割合の高い世代は60~64歳で89.7%でした。

準備していないと答えた人は11.8%です。性別・年齢によって差はあるものの、9割近くの人は医療保障の私的準備をしていると分かります。

医療保障の準備内容

医療保障を私的に準備する場合に挙げられる方法を、2023年調査の割合とともに見ていきましょう。(複数回答)

__・預貯金……65\.3%

・生命保険……63.9%

・損害保険……23.3%

・共済……15.5%

・不動産の売却など……5.9%

・その他……1.2%__

医療保障の準備内容としては、預貯金がもっとも多い結果となりました。また、民間の保険で備える人も同様に多い割合といえます。

医療保険が不要な人の特徴

公的な医療保険のみで十分なのではないかと思いつつ、民間の医療保険を解約してしまうことにためらう人もいるでしょう。保険料の負担はおさえたいものの、いざというときに民間の医療保険に加入していれば安心だという人もいます。本項では、民間の医療保険を解約をするか悩んでいる人向けに、医療保険が不要な人の特徴を紹介します。

貯蓄があり公的医療保険のみで対応できる

公的な医療保険に加入していれば、医療費は3割負担(未就学前の6歳未満と70~74歳は2割負担、75歳以上は1割負担、所得制限あり)です。さらに、公的な医療保険には高額療養費制度があります。高額療養費制度とは、上限額を超える部分についてはあとで費用が返還される制度です。

高額療養費制度の自己負担上限額は年収などによって変化します。70歳未満で年収約370万円以下であれば、月の医療費負担上限額(世帯ごと)は5万7600円です。

病気やけがにより医療費の負担が増すものの、公的医療保険があれば貯蓄で十分に対処できる可能性が高いといえます。

福利厚生が充実している

会社が民間の医療保険や健康保険組合に加入することで福利厚生が充実していれば、病気やけがをした際に医療費などが手当金として支給されます。

会社が加入する医療保険によって保障内容は違うものの、休業や出産時にも給付が受け取れるケースもあります。医療費のみならずさまざまな状況で負担を減らせるでしょう。

医療保険が不要だと思ったらほかの方法で医療保障に備えよう

公的な医療保険のみの加入で、ほかに医療保障を準備していない人は11.8%と少ないです。しかし、医療保障に備える方法は民間の医療保険だけではありません。貯蓄などでお金を準備しておくことで、公的な医療保険のみでも対応できる可能性は増すでしょう。

医療保険に加入していて解約を迷っている場合は、「医療費をまかなえる蓄えはあるか」「会社の福利厚生で負担は減らせるか」などを確認してください。

出典

厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
生命保険文化センター 2023年度 ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査
厚生労働省 医療費の自己負担

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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