30代引きこもりの息子がいます。父親の私と妻は定年間近で、貯金は「500万円」です。節約すれば3人で暮らしていけるでしょうか…?

定年後の親と子どもの3人暮らしにかかる生活費

日本人の一般的な生活にかかる平均的な費用は、総務省統計局の「家計調査」から推測ができます。ただ、引きこもりの30代の子どもがいる高齢者世帯という細かな属性のデータまではないため、ここでは公表されているデータからおおまかな生活費を確認します。

子どもは、引きこもりの無職と仮定するため、世帯収入は親の年金のみとします。令和4年の調査によると、2人以上の世帯のうち世帯主が65歳以上の無職世帯の消費支出額は、月平均で約23万9000円(非消費支出を除く)でした。ただ、世帯人員は2.33人となっているため、夫婦2人で生活している世帯が大多数といえます。

3人で生活する場合は、さらに子どもの食費や光熱費、被服費などがかかるのが一般的です。とはいえ、食事を一緒に食べたり同じ時間帯にお風呂に入ったりすれば、そこまで生活費に違いは出てこない可能性はあります。

しかし、子どもが部屋でテレビを一日中見ていたり趣味や間食などにお金を使っていたりすれば、夫婦2人のみと比べて毎月数万円程度は生活費が増える可能性は否定できません。また、紹介した調査は持ち家に住んでいる高齢者世帯も対象となっているため、実際には毎月の支出額はもっと増える可能性があります。

貯金500万円で暮らしていける?

同調査によると、2人以上の世帯のうち世帯主が65歳以上の無職世帯では毎月約2万3000円の赤字となっていて、年間27万6000円です。10年間では276万円となり、20年間では552万円にものぼります。特に問題なく暮らしていけそうにも思えますが、思わぬ事故やけがなどで出費がかさむこともあるかもしれません。

また前述通り、先ほどの調査は持ち家に住んでいる高齢者世帯も対象となっているため、実際には毎月の支出額はもっと増える可能性があります。それを考えると、貯金500万円では心もとないといえるでしょう。

貯金500万円で生活を維持するには相当の節約が不可欠

65歳以上の夫婦の無職世帯では、年金を受け取っていても毎月赤字となる計算です。引きこもりの子どもと3人で生活する場合は、さらに赤字額は膨らむでしょう。貯金500万円で暮らしていくのは不可能とは言えませんが、思わぬ事故やけがなどで出費が増えることもあるかもしれません。

そうなると、場合によっては親が85歳を迎えるまでに底をつきてしまう可能性もあります。毎月の住居費や子どもの生活費にもよるものの、3人での生活を維持するには相当の節約が欠かせないでしょう。

出典

総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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