日本代表、負傷した三笘薫の穴を埋める“代役候補”は? 19歳アタッカーも今こそ羽ばたくチャンスだ

日本代表は3月末、ワールドカップ・アジア2次予選の北朝鮮戦に挑む。21日にホーム、26日はアウェーで、連戦になる予定だ。北朝鮮とのアウェーが成立するのか否か、現時点では不透明だが、手強い相手との2試合になるのは間違いない。

そんななか、日本の主力である三笘薫の負傷が伝えられ、長期離脱が決定的。伊東純也も招集外が濃厚との報道があり、森保ジャパンは強みの両翼を欠く。右ウイングは久保建英や堂安律が務めるとしても、左ウイングには誰が入るのか。

直近数試合の出場時間を踏まえれば、一番手は中村敬斗だろう。両ウイングの幅取りから始まる現在の森保ジャパンの仕組みに、ある程度素直にフィットする。シュートに関しては三笘以上のスキルを持ち、すでにA代表では8試合で6得点を挙げた。

ただし、縦の突破力では三笘に劣るため、左サイドで独立させると、右足で中央へプレーする中村の出先を徹底的に封鎖されたアジアカップ・バーレーン戦の二の舞になるおそれがある。この点は周囲との組み合わせによるヘルプが必要だ。

現在の左SBはセンターバックやボランチ寄りの伊藤洋輝、中山雄太の2択だが、攻撃面ではより相手の背後へ出るスピードと運動量に長けたウイング寄りの左SBに、中村へ迫るマークを開放してほしいところ。

その意味では甲府から川崎へ移籍した、左SB三浦颯太は面白い存在だ。そのダイナミックな内外の飛び出しで脅威を与えれば、中村にスペースが生まれる。中村&三浦の縦コンビはどこかで見たい。

中村だけでなく、南野拓実を左サイドで起用する場合も、やはり縦へ行ける左SBは効果を発揮するだろう。

また、中村や南野以外に、左ウイングの候補に挙がるのが、前田大然だ。アジアカップ準々決勝のイラン戦で先発したように、裏抜けのスピードとプレッシングの強度に長けている。この前田の起用も、特にアウェーの北朝鮮戦では充分にあり得る選択肢だ。

中村、南野、前田。このアジアカップで先発出場した3人は、三笘不在の左ウイングにおいて有力候補になるだろう。

一方、北朝鮮戦でいきなり起用するのは困難としても、縦への前進や突破に長けた三笘の正当な代役も、今後を踏まえて発掘したいところだ。上記3人はいずれも三笘とはタイプが違う。右サイドも伊東の復帰に目処が立っていないだけに、縦に勝負できるウインガーは確保したい。

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気になる選手は、新潟からスパルタ・ロッテルダムへ移籍したMF三戸舜介だ。スピードと連係の巧さがあり、左右両サイドで縦に仕掛ける器用さを持っている。両サイドの主力ウインガーを欠く今、A代表にとっては最も効率の良い補強だろう。

ただ、アジア予選を間近に控えたパリ五輪代表の候補メンバーでもあるので、起用の可能性が低ければ3月の北朝鮮戦は招集できないだろう。いずれにせよ、近いうちにA代表に入るであろう選手だ。

アジアカップで選外になったとはいえ、森保ジャパンに慣れているカーザ・ピアの相馬勇紀も現実的な有力候補だろう。

また、ほかに気になる選手は、FC東京の俵積田晃太も挙げられる。19歳と若いが、スピードと自信にあふれ、相手を抜く間を知っている。置き去りにするコース取りもいい。まだ自分の限界を知らない、若手らしい若手だが、こういうウインガーこそ、おそれを知らない縦への仕掛けが相手に脅威を与える。10代の最後に、彼をスケールアップさせる招集を経験させてもいい。

A代表の招集に限らず移籍にも通じることだが、事をなすには実力のほかにタイミングも起因する。早い? 遅い? だが、それは自分では決められない。両翼が薄くなったチーム事情がある今こそ、羽ばたくチャンスだ。それをつかむ選手に期待している。

取材・文●清水英斗(サッカーライター)

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