結婚を希望する人に出会いの場をつくろうと、愛知県が初めて主催した大規模婚活イベント。その追跡調査結果が公表されました。アンケートの回答者は148人。その内「交際に発展した」と答えた人は10人と約7%でした。
県主催の婚活イベントについて、地方創生などに詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティング・上席主任研究員の佐々木雅一さんに話を聞きます。
異性とじっくり話ができたのか さまざまな検証が必要
――イベント参加へのアンケートの回答者148人中、「交際に発展した」と答えた人は10人でした。この数字をどのように捉えていますか。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 佐々木雅一さん:
「結婚に至ることを目標としたイベントならば、10人というのは決して多いとは言えないと思います。そもそも、近いうちに結婚したい人が集まっているのか、理想とするような人に出会えるような仕掛けがあったのか。異性とじっくり話ができたのか、この辺りを検証することが必要だと思います」
婚活に対して前向きになった人は半数以上
――数字として見たときに、税金977万円を使って交際に発展した人が10人。費用対効果で考えると、どのように感じますか。
「費用対効果については単純に分析できません。しかしこの婚活イベントに参加したことで、婚活を前向きに考える方が約57%いたという結果が出ています。今回の婚活イベントについては、定員の5倍以上の申し込みがあったので、一定のニーズがあると思います。
そういった中で、婚活イベントに初めて参加した人は約7割です。事前セミナーを実施していたことを考えると、結婚を前向きに考える人たちのイベントであったのではないかと思います。前向きに考える人が6割ほどいたというのは、良い結果なのではないでしょうか」
「地域が婚活を後押し」メッセージにもつながる
「こういった大規模な婚活イベントは、愛知県が地域として婚活支援を実施しているという“メッセージ”を打ち出せます。そのため、開催の意味があったと評価しています」
――「人口減少に歯止めをかけたい」というイベントで考えると、まださまざまなことができそうでしょうか。
まだ改善の余地はあり、今後も継続していく必要があると感じます。
――今回の婚活イベントでは、全参加者にアンケートを取ることはできませんでした。今後は予算をさらに拡充する方針とのこと。婚活イベントを通して、今後はどのようにブラッシュアップしていく必要がありますか。
「アンケートの中で、連絡先を交換した人は94%いました。実際に連絡を取った人は65%。約3割が連絡を取っていないことになります。また『直接会った人』は39%とさらに減ってしまうので、なぜなのか分析して改善につなげてもらいたいと思います」
結婚に至るまでのサポートが必要
「また近年では、異性との交際経験のない人が非常に増えています。付き合い方に対して、『伴走支援』も必要ではないかなというふうに思います」
――伴走支援とはどのようなものでしょうか。
「例えばLINEの返し方など、かなり基礎的なコミュニケーションに不安を抱えている人が少なくないと聞いています。単なる出会いの機会をつくるだけではなく、結婚に至るまでのサポートのあり方についても検討してもらいたいです」
愛知県の婚活支援について大村知事は「愛・地球博記念公園での大規模婚活イベントを引き続き開催するとともに、新たに市町村が開催する婚活イベントを支援する。そして結婚支援センターを新たに開設し、AIによるマッチングを行って結婚支援を強化する」と話しています。2024年度の予算に結婚支援に関する費用、約6700万円を計上、さらに力を入れていく方針です。