希少なサワガニやウミガメの卵も食べるイノシシ 沖縄・慶良間諸島で根絶へ 警戒心が強く夜に行動 捕獲方法が課題に

ニホンイノシシの捕獲実績

 沖縄・慶良間諸島は5日、国立公園指定から10年を迎える。生態系保全の一環で、急速に生息域を拡大した外来種ニホンイノシシの駆除が進められている。

 農作物の被害だけでなく、希少なサワガニ類やウミガメの卵を捕食するなど生態系への影響が広がり、県は2031年度までに慶良間諸島全域からの根絶を目指す。

 イノシシは03年ごろにイノブタ生産のため渡嘉敷島に持ち込まれ、管理不足で逃げ出した個体が野生化。座間味島、阿嘉島、慶留間島でも分布が確認された。

 県は第二種特定鳥獣管理計画(第2期)で年度ごとの目標生息数を設定。渡嘉敷島では23年度139頭から31年度0頭、座間味島では23年度18頭から27年度0頭を目指す。

 捕獲事業では新たな課題も出ている。継続的な捕獲によって警戒心が強くなったイノシシは、日中を避けて夜間に行動するようになり、原則日中しか使えない猟銃での捕獲が減っているという。

 県自然保護課は「夜間の捕獲が必要になってきているので、他県の事例を参考にしながら同様に実施できるか検討していく」としている。(南部報道部・榮門琴音)

 

© 株式会社沖縄タイムス社