【米大統領選2024】 スーパーチューズデー、何が注目でどう大事なのか

ジュード・シェリン、BBCニュース、ワシントン

ホワイトハウスを目指す今年のアメリカ大統領選において、これまでで最も重要な日が、5日のいわゆる「スーパーチューズデー」だ。

15州・1米領の有権者が、誰が各党の大統領候補になるべきかを選ぶ。

ジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領が11月の本選で4年前に続いて再び対決するものとみられている状況で、両候補の強みと弱みが、この日の投票で明らかになると予想される。

投票は日本時間5日夜から始まり、同6日午前から結果が少しずつ判明していく。

スーパーチューズデーとは

野党・共和党は15の州で、予備選挙や党員集会を行う。

15州は、アラバマ、アラスカ、アーカンソー、カリフォルニア、コロラド、メイン、マサチューセッツ、ミネソタ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、テキサス、ユタ、ヴァーモント、ヴァージニア――の各州。

民主党は、この15州からアラスカ州を除く14州と、アメリカ領サモアで、予備選挙や党員集会を行う。数週間前から郵便投票が続いていたアイオワ州の党員集会の結果も、この日に明らかになる見通し。

競う代議員の人数

共和党では、候補者を選ぶ「代議員」計2429人が、人口などに応じて全米に割り振られている。この過半数の1215人を獲得した候補が、夏の党大会で本選に候補者に指名される。

代議員2429人のうち約3割の865人について、どの候補が獲得するのか、スーパーチューズデー1日で決まる。

民主党では、代議員計3934人のうち、1968人を獲得した候補が党候補となる。スーパーチューズデーでは代議員1420人の行き先が決まる。

トランプ陣営は、スーパーチューズデー当日にトランプ前大統領が少なくとも代議員733人を獲得した後、その後の各州の予備選・党員集会でも勝利し続け、3月末には必要な1215人を獲得するとみている。

これまでにトランプ氏が獲得したとされる代議員は244人。共和党で唯一対抗しているニッキー・ヘイリー元国連大使は、43人を獲得している。

トランプ前大統領にとっての意味は

世論調査でトランプ前大統領は、ヘイリー元国連大使に2けたの差をつけてリードしているだけに、スーパーチューズデーでいよいよただ一人の対立候補を撤退に追い込みたい構えだ。

ヘイリー氏はこれまでのところ、地元サウスカロライナ州でもトランプ氏に敗れ、勝ったのはコロンビア特別区(首都ワシントン)のみ。このため、巨額の選挙資金を寄付してきた政治団体が支援を打ち切る事態になっている。

ヘイリー氏が共和党候補になる明確な道筋は残されていないが、トランプ氏を失速させる、あるいはその弱点を露呈するには、このスーパーチューズデーが最後のチャンスとなる。

これまでの州予備選・党員集会では、トランプ氏は都市部に住む大卒有権者の支持を確保できずにいる。これが本選で弱点となれば、ホワイトハウスに復帰する夢は打撃を受けるかもしれない。

バイデン大統領にとっての意味は

民主党現職のバイデン氏が、同党の候補指名を獲得するのは、ほぼ確実だ。対立候補としては、ディーン・フィリップス下院議員(ミシガン州選出)と、自己啓発本の著者マリアン・ウィリアムソン氏が争っている。

ただし、2月27日にミシガン州で行われた予備選では、13%超の有権者が「uncommitted」(支持者未定)と投票。パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルとイスラム組織ハマスの戦争で、バイデン政権がイスラエルを支持し続けることへの、抗議運動の一環だった。

スーパーチューズデーに投票するカリフォルニア、コロラド、ノースカロライナ、ミネソタ、ヴァーモントの各州でも、同様にバイデン政権に抗議する運動が組織的に行われている。

加えて、81歳のバイデン氏の年齢がしばし選挙戦の話題となる状況で、どの年齢層の有権者がどのような態度を示すのか、特に若者の票がどう動くのかが、本選に向けて注目されている。

結果はいつ

15州と1米領は6つの時間帯にまたがるだけに、最終的な開票結果が判明するには時間がかかる。

東部時間を皮切りに、5日夜に投票が締め切られ、次第に結果が明らかになる。

BBCが提携する米CBSニュースをはじめアメリカのテレビ各局は、東部時間5日午後8時(日本時間6日午前10時)ごろから、州ごとに開票速報を伝えていく見通し。

注目州は

スーパーチューズデーの投票州のうち、11月の本選で激戦州になると予想されるのは、ノースカロライナ州のみ。2020年大統領選ではトランプ氏が、わずか1ポイント超差でバイデン氏に勝った。

コロラド州とメイン州では州最高裁や州務長官が、2021年1月6日の連邦議会襲撃を理由に、トランプ氏の予備選立候補を認めないと決めていたが、連邦最高裁が4日、この決定を覆す判断を示したため、トランプ氏は両州でも候補者として残っている。

予想外の結果があり得るのは、党員登録していなくても投票を認める州の予備選だ。たとえばヴァージニア州はこうした「オープン」方式の予備選となる。同州の共和党支持者は比較的、穏健派としても知られるだけに、同州での共和党予備選でヘイリー氏に票が集まるのかどうか、注目される。

それ以外では、この日はヘイリー氏にとって非常に厳しい結果をもたらすものと予想されている。

(英語記事 Super Tuesday: What is it and why is it so important?

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