ナダルがラスベガスのエキジビで復帰!後輩アルカラスとの熱戦に敗れるも「予想より動きはずっと良かった」と手応え<SMASH>

左足のケガで戦列を離れていた男子テニス元世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン)が、現地3月3日にアメリカ・ラスベガスで行なわれたエキジビションマッチ「The Netflix Slam」(ハードコート)で約2カ月ぶりに復帰。20歳で世界2位のカルロス・アルカラス(スペイン)と対戦し、6-3、4-6、[12-14]の逆転で敗れた。

それでも四大大会22勝を誇るレジェンドは無事コートに戻れたこと、そして次代を担う同郷のニューヒーローと最後まで楽しくプレーできたことを何よりも喜んでいる様子だ。試合後のインタビューでナダルは、アルカラスの活躍を称えつつ次のようなコメントを残している。

「個人的にはこの舞台で、大勢の観衆の前でカルロスとプレーできて最高だった。スペインでは、カルロスのような選手がいることを大いに喜ぶ必要がある。彼はまだ20歳ながら素晴らしい選手で、すでに四大大会でも2度優勝している」

昨年1月の全豪オープン(オーストラリア・メルボルン/四大大会)で左股関節を痛めて以降ツアーを離れていたナダルは、今季開幕戦の「ブリスベン国際」(ATP250)で約1年ぶりの復帰を果たすと、ブランク明けとは思えないプレーでいきなりベスト8に進出。しかしジョーダン・トンプソン(オーストラリア/大会時55位)との準々決勝では試合途中に左足上部を痛めてしまった。

その直後に開かれた全豪は欠場を余儀なくされ、さらにはプロテクトランキング(負傷離脱前のランキングで大会にエントリーできる救済措置)で参戦予定だった先月下旬の「カタール・エクソンモービル・オープン」(カタール・ドーハ/ATP250)での復帰も見送る羽目に。エキジビション開幕前の取材では「自分が今どんな状態なのかよくわからない」と明かしていたこともあり、心配の声は大きかった。
だが、しばしの休養により回復はしっかりとできたようだ。終始真剣勝負が繰り広げられたアルカラスとの試合には敗れたナダルだったが、難しい背面ボレーや、フォアハンドでコートの外側から巻いてくるパッシングショットを決めるなど素晴らしいパフォーマンスを披露。自身でも一定の手応えをつかんだようで、「予想より動きはずっと良かった」と満足感を示した。

一方で勝者のアルカラスは、常に敬意を抱いている自国の偉大な先輩と共にプレーできた意義をこう語っている。

「ここ(ラスベガス)で一緒にプレーできたのは信じられないことだった。ラファとの対戦は僕にとって常に特別なものだ。僕は彼から、コートの隅に追い出された時も信じられないショットを打つというような、決して諦めない闘志を身に着ける必要があると学んだ。

物事がうまくいかない時に解決策を見つけるという精神力は、僕が自分のゲームに取り入れようとしているものだ。彼は称賛に値する人物だし、誰もが彼からインスピレーションを得ていると思う」

ナダルは間もなく開幕するマスターズ1000大会「BNPパリバ・オープン」(3月6日~17日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート)でツアー復帰の予定。その初戦では元世界3位のミロシュ・ラオニッチ(カナダ/現224位)との注目の対決が組まれている。2年ぶりのインディアンウェルズでナダルがどんなプレーを見せてくれるのか非常に楽しみだ。

文●中村光佑

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