[ベルリン/フランクフルト 5日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラのドイツ工場が付近の送電鉄塔での火災により停電し、操業停止に追い込まれた。
操業停止となったのは首都ベルリン近郊にあるテスラのギガファクトリー。火災は環境活動家が放火したことが原因の可能性があるという。テスラの工場は火災に見舞われていないが、テスラは少なくとも来週初めまでは操業を停止すると発表した。今回の操業停止により、5億─10億ユーロの損失発生が見込まれるという。
テスラの広報担当は操業停止と従業員の避難を確認した。
この工場は、環境保護運動による抗議の焦点となっている。警察は放火の可能性で捜査している。
地元メディアは「ボルケーノ・グループ」と呼ばれる左派組織による犯行声明を報じた。声明でテスラへの攻撃を認めている。警察もこの声明を把握しており、真偽を確認しているという。
テスラの工場があるブランデンブルク州のヨルク・シュタインバッハ経済相は、今回の事件には「テロリストの痕跡」があり、数万人が被害を受けたと非難した。
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は短文投稿サイトのX(旧ツイッター)で「彼らは地球上で最も愚かな環境テロリストであるか、適切な環境目標を持たない人々の操り人形であるかのどちらかだ」と非難。「化石燃料車ではなく電気自動車の生産を停止させるのは極めて愚か」とした。
周辺の住宅地への電力供給は復旧したが、物流センターなどの工業用地では回復していない。
テスラは工場の拡張を計画しているが、環境破壊に対する懸念を背景に住民投票で否決された。同社は工場の年間生産能力の倍増を目指している。
同工場は年産50万台。テスラはこれを100万台とし、バッテリー生産能力も拡大を目指している。テスラ関係者は、今回の件が工場の生産能力拡大計画に影響するかについては言及しなかった。
環境活動家は、工場が拡張すれば伐採が予想される森に地帯にツリーハウスを建てるなどして反対運動を進めている。