夜間中学の需要拡大 愛知で2026年までに5校誕生 外国ルーツの人や不登校だった人の受け皿に

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夜間中学校…第2次世界大戦後の混乱期につくられた教育機関 高校受験に必要な「中卒」資格も

夜間中学は第2次世界大戦後の混乱期に、経済的な事情などで中学校に通えなかった人のためにつくられた教育機関です。

夜間中学を卒業すれば、高校受験などに欠かせない中卒の資格を得ることができます。愛知県内唯一の夜間中学、愛知県中学夜間学級では週3回、1日2コマの授業で、2年かけて中学3年生の学習内容を学びます。授業料は無料ですが、入学するには試験に合格する必要があります。

以前は主に義務教育を修了できなかった高齢者の学び直しの場でしたが、最近は受講する生徒に変化が出ています。

夜間中学で学ぶ外国ルーツの生徒は「高校に行くために」 不登校だった人の学び直しの場にも

在留外国人は年々増加 中学校卒業資格のニーズが高い

名古屋市中区新栄のビルの一室、愛知県中学夜間学級の教室では国語の授業が行われていました。生徒が取り組むのは百人一首です。授業は大盛り上がり。よく見ると、多くは外国にルーツがあると思われる生徒たちです。

愛知県中学夜間学級 担任:
「最近は外国にルーツを持つ人、何らかの事情があって母国で中学校(卒業)の資格が取れなかった人が多く在籍している」

法務省によると、在留外国人はこの10年で100万人以上増加。2023年6月時点で320万人を超えています。

外国にルーツを持つ生徒:
「高校に行きたい。高校で勉強したい」

学びの場を求める人も多いのですが、座学で横についているのは日本語の支援員。課題は日本語です。

愛知県中学夜間学級 担任:
「(日本語が)ままならない生徒さんも中にはいますので、ある条件をクリアした方々が(入学)試験を受けるということになる」

現状、日本語教育を手厚くする体制作りが難しい愛知県の夜間中学。年齢や居住地などとともに日本語能力が入学の条件になっていて、一定のレベルに達していない場合、合格は極めて高い壁です。

外国ルーツの生徒とともに増えているのが…

女性生徒:
「中学校の時、不登校で、それがコンプレックスだったので、それをなくすために通っています」

不登校の中学生の数は年々増加。割合は2022年度、約17人に1人に達しました。今後も学び直しの場として夜間中学を求める声は高まっていきそうです。

愛知では2026年4月までに夜間中学が5校開校 学習状況に応じ最長6年までの延長が可能

新制度で需要の受け皿に 授業回数が増えて教員不足の懸念も

夜間中学への需要の高まりを受け、国は各都道府県と政令指定都市にそれぞれ少なくとも1校、夜間中学を設置することを決めました。愛知県では2026年4月までに名古屋市立が1校、県立が4校、開校する予定です。これを受けて、現在の愛知県中学夜間学級は2026年3月に閉校します。

愛知県中学夜間学級では中学3年生の内容を学びますが、新設校では習熟度に応じ、中学1年生から3年生の内容に加え、日本語を学ぶコースを選ぶことができます。

授業は愛知県中学夜間学級が週3回、1日2コマで2年間学ぶのに対し、新設校は週5回、1日4コマ、原則3年間学びます。学習状況に応じて期間の短縮や最長6年までの延長が可能です。

このように柔軟な対応を取ることで、外国がルーツの人や様々な理由で中学に通えなかった人の受け皿になろうというわけですが、課題もあります。

授業の回数が増えることで、働きながら通いたい人が通いにくくなるのではないか、またコースの細分化により教員が不足するのではないかと懸念されているんです。

学びたい人に学びの場を増やす夜間中学の整備。今後の動向に注目です。

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