ロールス・ロイスが最新作「アルカディア・ドロップテイル」を発表。かつてないラグジュアリーカーを具現化

2024年2月29日、ロールス・ロイス・モーター・カーズ(以下、ロールス・ロイス)が最新作となる「アルカディア・ドロップテイル」を公開しました。豪華絢爛な、1点モノのロールス・ロイスをとくとご覧ください!

コーチビルド・コミッションの第3弾モデルとして発表

エクステリアは伸びやかかつ優美なスタイルとした。ホイールのサイズは22インチ。

「アルカディア・ドロップテイル」はロールス・ロイスが顧客のオーダーに応じて自由にクルマを作り上げるコーチビルドモデルのひとつで、「ラ・ローズ・ノワール」「アメジスト・ドロップテイル」に続く、コーチビルド・コミッションによる第3弾モデルです。

ルーフをオープンにするとそのスタイルはまさに伝統的なボートを彷彿とさせるスタイル。

このモデルを制作するにあたり心がけたことは「ブリティッシュ・ラグジュアリーを大切 にされるお客様のライフスタイルを映し出し、ミニマルで繊細でありながらも、大胆な表現」することだったとデザイン・ディレクターのアンダース・ウォーミング氏は言います。

また、デザインするにあたっては2019年に提示された手描きのスケッチがもとになっています。依頼主はこれに忠実なクルマを希望し、それに応じるべく大胆で低いスタンス、くつろぎを与えるキャビ ン・デザイン、ドラマチックなボディラインを採り入れた「アルカディア・ドロップテイル」が誕生したのです。

内外装の色にも並々ならぬこだわりがある

ボディやルーフ後端のデザイン処理は個性的。ボディ寸法は公表されていないがかなり大柄なはず。

まずエクステリアで注目したいのはボディカラーです。メインカラーは上品ではあるものの、一見するとピュアなホワイトに見えますが、実はアルミニウムとガラ ス粒子を混ぜたソリッド・ホワイトとなっています。この色は光が当たると錯覚効果で見る者に果てしない深みを感じさせるように仕上げられています。さらにより大きなアルミニ ウム粒子を使用した多面的で印象深いメタリックも開発。先述のホワイトと美しく対比させるべく色そのものはもちろん、明度・彩度に至るまで細かく調整されました。

これまでのドロップテイルとは異なり、車体下部のカーボン素材をビスポークのシルバーカラーで塗装したことも注目点です。こうすることでサイドビューを視覚的に “持ち上げる”ことで、しなやかかつダイナミックな印象を与えているのです。デザインも注目したい点です。

インテリアは量産車では考えられない手の込みようだ

2シーターのインテリアには柾目のウッドパーツがふんだんに使われている。

インテリアは素材の質感はもちろん、木目や色合いにもこだわりました。とくにウッド素材は柾目(まさめ)のサントス・ウッドを使用しています。これはすべての木材な中でもとくに木目が細かく、それゆえに乾燥時に割れやすいデリケートな素材でもあります。これを車内に233ピース、リアデッキには76ピースも使われています。

サントス・ウッドをアルカディア・ドロップテイルに使うことは簡単ではなかったようです。18種類の異なるサンプルを使って1000時間繰り返し検査し、ウッ ド・ピースの耐久性を確認。さらに保護コーティングの開発には8000時間以上を費やしました。こうして繊細な素材を使いながらその美しさを保ちつつ、熱帯地方を含む世界のあらゆる環境下で使用できる内装を実現したのです。

一方、インテリアのレザー素材は、メインカラーはエクステリアと関連性を持たせたビスポーク・ホワイトをベースに、ビスポーク・タンのツートーンが採用されています。

インテリアのハイライトは工芸品レベルのクロック

きらびやかな装飾が施されたクロックをインパネに配置。彫り込み数や素材までこだわりが詰まっている。

もうひとつインテリアで注目すべきアイテムが用意されています。インパネにセットされたクロックです。これは金属のベースに精巧な幾何学的ギョーシェ彫りが施されており、そのファセット(彫り込み)は119に及びます。この数字はアルカディア・ドロップテイルをオーダーした顧客がロールス・ロイスが119周年を迎えた2023年にこのクルマの原案を見たことに由来します。

クロックの文字盤は、一部をポリッシュ仕上げ、一部をブラッシュ仕上げにした針と、厚さわずか0.1mmのインデックス(アワーマーカー)が12個配置されています。この繊細な工芸品レベルのアイテムは約100倍まで拡大できるカメラを使いつつ、職人が手作業で仕上げたといいます。

またミニッツマーカーは一般的なアルマイト加工ではなくセラミックコーティングを採用。長期間にわたり美しさを保ちます。また「ダブル 」モノグラムは無垢のステンレスから削り出され、手作業により磨き上げられています。

ちなみにこのクロックの開発には2年以上、組立作業には5カ月もの歳月がかかっています。

シンガポールでのセレモニーを経て幸運なオーナーに届けられる

ドアはロールス・ロイスお得意の、後ろヒンジの前開きとなっている。

究極のフルオーダーにより生まれた、贅を尽くしたロールス・ロイス「アルカディア・ドロップテイル」はシンガポールで行われるプライベート・セレモニーで依頼主に披露されます。なお価格や詳細なスペックは未公表となっています。

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