「隊長の処分は納得できない」殉職した消防隊員と消火活動に当たった元隊員が疑問の声 当時の状況や判断について説明へ=静岡市呉服町ビル火災

2022年8月、消防隊員1人が殉職した静岡市葵区のビル火災を受け、静岡市消防局は当時、消火活動に当たっていた部隊の隊長を減給処分としましたが、3月5日、その現場にいた元消防士の男性が「処分は到底、納得いかない」と疑問の声をあげました。

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<静岡市 長沼滋雄市議>
「事故調査報告書では、詳細な記述が不自然に避けられており、指摘が必要な部分が多々あります」

3月5日の静岡市議会。登壇した議員は、2年前に発生した静岡市のビル火災の検証は不十分ではないかと投げかけました。

2022年8月、静岡市葵区呉服町の飲食店で発生した火災では現場で、消火活動にあたっていた静岡市消防局の消防隊員(当時37)が殉職。消防隊員らは本来、命綱として使用する隊員同士をつなぐロープを使わずに進入していましたが、これが活動基準と異なるとして静岡市消防局は当時、所属していた部隊の隊長を減給処分としました。

<長沼滋雄市議>
「ロープ確保しなかったことを最も重大な責任とみなす結論にはいまだ議論の余地があると思う」

<静岡市 難波喬司市長>
「今回の事故では特段理由なく、警防活動基準通りでない活動を指示したことは適切でないと判断しています」

静岡市は、再発防止のために行政の視点からの検証も必要として、市独自で調査を実施。「普段から火災現場で活動時の規範が守られていなかった」と結論付けました。

傍聴席でこのやり取りを見つめていた男性。火災現場で殉職した消防隊員と消火活動に当たった元消防隊員です。男性が3月5日、議場に足を運んだのはある思いを訴えるためでした。

<一緒に消火活動に当たった元消防隊員>
「隊長が処分されたのは到底、納得のいくものではない。断言しますが、当時の隊長の判断は何一つ間違ってなかったと思います。結果が亡くなってしまったから、間違っていたというのは“イコール”ではない」

「活動時の規範が守られていなかった」と結論付けた静岡市。これに対して男性は、「現場の判断は誤っていなかった」と撤回を訴えます。男性は3月6日午後、静岡市内で記者会見を開き、事故当時の状況や活動時の判断について詳しく説明するとしています。

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