【厚労省】療担規則を改正/敷地内薬局規制強める/現存施設も規定違反は次回更新しない方針

【2024.03.06配信】厚生労働省は3月5日、「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」を一部改正した。保険薬局の指定に当たっての構造上・経営上の独立性の取扱いについて改めて規定した。

4月1日から適用/保険指定時、更新時も同様

発出文書は以下の通り。

■「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について

保険薬局の指定に当たっての構造上・経営上の独立性の取扱いについては、下記のとおりとすることとしたので、その取扱いに遺漏のないよう、関係者に対し周知徹底を図られたい。
なお、この通知は、令和6年4月1日から適用する。ただし、この通知の適用日前においても、地方社会保険医療協議会への諮問等の必要な手続を行うことができるものとする。

「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」(平成8年3月8日保険発第 22 号)の第二を次のように改める。

第二 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和三二年厚生省令第一六号)の一部改正に関する事項
一 健康保険事業の健全な運営の確保(第二条の三)関係

(一)平成六年の保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正において、「調剤薬局の取扱いについて」(昭和五七年五月二七日薬発第五〇六号、保発第三四号)に基づき行われていた保険薬局の保険医療機関からの独立性に関する取扱いを明確化する観点から必要な改正が行われたところであるが、その後も、保険薬局の保険医療機関からの独立性に関して問題のみられる事例が発生し、社会問題化している実情に鑑み、保険薬局は保険医療機関と一体的な構造とし、又は保険医療機関と一体的な経営を行ってはならないこと、及び、保険薬局は保険医又は保険医療機関に対し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならないことを明確化するものであること。

(二)この場合において、保険医療機関と一体的な構造とは、次のアからウまでに掲げるような構造を指すものであること。
ア 保険医療機関の建物内にあるものであって、当該保険医療機関の調剤所と同様とみられるもの
イ 保険医療機関の建物と専用通路等で接続されているもの
ウ ア又はイに該当しないが、保険医療機関と同一敷地内に存在するものであって、当該保険薬局の存在や出入口を公道等から容易に確認できないもの、当該保険医療機関の休診日に公道等から当該保険薬局に行き来できなくなるもの、実際には当該保険医療機関を受診した患者の来局しか想定できないもの等、患者を含む一般人が当該保険薬局に自由に行き来できるような構造を有しないもの
なお、ウへの該当の有無については、現地の実態を踏まえ、地方社会保険医療協議会に諮った上、個別に判断すること。また、保険薬局の独立性の確保の観点からは、いわゆる医療ビルのような形態は好ましくないが、このような場合にあっては、当該建物について、患者を含む一般人が自由に行き来できるような構造になっている旨を十分に確認すること。加えて、このような形態の場合には、患者誘導が行われるような実態のないよう、併せて留意すること。

(三)保険医療機関と一体的な経営を行う場合とは、(二)のまた以下に該当する場合等保険医療機関と保険薬局が一定の近接的な位置関係にあり、かつ、次のアからオまでに規定するような経営主体の実質的同一性が認められる場合又は機能上医療機関とのつながりが強いとみなされる場合を指すものであること。
ア 保険薬局の開設者(法人たる保険薬局の役員を含む。)が特定の保険医療機関の開設者(当該医療機関の開設者が法人の場合にあっては、当該法人の役員を含む。)又は開設者と同居又は開設者と生計を一にする近親者であるもの。
イ 保険薬局の開設者と保険医療機関の開設者の間の資本関係が実質的に同一であるもの(法人の場合にあっては当該法人の役員が経営するものを含む。)。
ウ 職員の勤務体制、医薬品の購入管理、調剤報酬の請求事務、患者の一部負担金の徴収に係る経理事務等が特定の保険医療機関と明確に区分されていないもの。
エ 特定の保険医療機関との間で、いわゆる約束処方、患者誘導等が行われているもの。
オ 特定の保険医療機関から、夜間、休日等における開局、医薬品の備蓄又は管理、当該医療機関の薬剤関連業務への協力等の保険薬局としての機能に関して具体的な指示がされているもの。特に、保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有している保険薬局を開設するにあたり、保険医療機関からこのような保険薬局の機能に関して具体的な指示又は要請を明示的に受けた上で開設するような場合は、保険薬局の保険医療機関からの独立性の観点から、機能上保険医療機関とのつながりが強いとみなされる場合があることに留意すること。
なお、保険薬局の指定の更新に当たっては、新規指定時と同様、不動産の賃貸借関連書類等の経営に関する書類等の提出を求め、一体的な経営に当たらないことを確認すること。特に、保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有している保険薬局に関しては、その際に当該保険薬局が当該保険医療機関から土地又は建物を賃借する際の賃料(賃料の名目以外でも、賃貸借に関連して保険薬局から保険医療機関に支払われる費用も含む。)について確認すること。

(四)金品その他の財産上の利益とは、第一の一の(二)と同様であること。

(五)本条の規定に照らし、総合的に判断して医療機関の調剤所と同様とみられるものについては、保険薬局としての適格性に欠けるものであるから、地方社会保険医療協議会に諮った上、保険薬局の新規指定を行わないこと。また、現に存するものについては、次回更新時までに改善を指導し、これに従わない場合は、地方社会保険医療協議会に諮った上、更新を行わないこと。特に、保険医療機関の敷地内に所在する保険薬局にあっては、地方社会保険医療協議会に当該保険薬局の指定又は更新を諮る際に、当該公募に係る資料(新規指定時にあっては、保険薬局開設に当たって保険医療機関から提示された条件、契約に係る関係費用の詳細、更新時にあっては、これまでの土地又は建物を賃貸借する際の賃料に係る資料を含む。)及び当該保険薬局が当該公募に応じた際に提出した資料も確認できるようにすること。

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