ケーブルテレビの名物カメラマンが引退、群馬・南牧村 後任の協力隊員「師匠の志、受け継ぐ」

朝倉さん(右)にエールを送る新井さん

 群馬県南牧村のケーブルテレビ局「なんもくふれあいテレビ」を開局当初から支えてきたカメラマンで、村職員の新井喜幸(あらい・よしゆき)さん(60)が今春、定年を迎える。この新井さんを「師匠」と仰ぐのが、同村地域おこし協力隊の朝倉早也輝(あさくら・はやて)さん(22)。志を受け継ぎ、村民に愛されてきたテレビ局をさらに盛り上げようと奮闘している。

 同局は難視聴地域の解消などを目的に開設され、1997年から自主放送が始まった。現在は新井さんら3人が中心となって撮影・編集に取り組み、地域の話題を放送している。

 桐生市出身の新井さんは、前橋市内の印刷会社やフリーのカメラマンなどを経て、96年から同局に勤務。養蚕農家を扱った企画や大みそかの生中継など独自の番組作りに尽力してきた。太田市出身の朝倉さんは14歳でユーチューバーとなって以来、映画やドラマなど映像制作に取り組んできた。映画監督としての顔も持ちながら、専門学校卒業後は東北地方のテレビ局でも経験を積んだ。

 知人の紹介で、同村がテレビ局職員を担う協力隊員を募集していると知り、移住を決意。昨秋から同局で働き始めた。入局後は、新井さんから指導を受けつつ、ニュース番組でテロップを効果的に使ったり、村民向けに動画投稿サイト「ユーチューブ」で番組の見逃し配信をしたりと技術や経験を存分に発揮している。

 一緒に働いた期間は短かったが、新井さんは「テレビ局を残すためには若い力が必要。柔軟な発想で、朝倉君の色に染めてほしい」と期待を込める。朝倉さんは「映像制作に関する指摘で納得ができたのは、新井さんの言葉が初めてだった。退職は寂しい」と肩を落とすが、立ち止まっている時間はない。

 深刻な人口減に直面する同村では、取材対象も年々減少傾向にある。「番組の充実」を目標に掲げる朝倉さん。既にケーブルテレビを持つ近隣町村との連携やユーチューブの活用を構想しているという。

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