三菱マテリアルら/安比地熱発電所(岩手県八幡平市)が営業運転、鹿島JVらが施工

◇発電出力1・49万キロワット
三菱マテリアルと三菱ガス化学、電源開発が共同出資する安比地熱(岩手県八幡平市、菅野雄幸社長)は、岩手県八幡平市の国有林内に建設した地熱発電所の営業運転を1日開始した。1万4900キロワットの発電出力で、約3万6000世帯分の電力を賄える規模。鹿島・三菱マテリアルテクノJVが土木建築工事を施工した。2019年8月1日に着工し、4年半をかけて2月29日に完成した。建設費は公表していない。
発電した電力は再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)で全量を東北電力ネットワークに売電する。売電期間は15年を見込む。
工事で発電所本館、冷却塔、還元井3坑、生産井4坑、気水分離器などを整備。掘削工事は三菱マテリアルテクノ・エスケイエンジニアリングJV、蒸気設備工事を三菱マテリアルテクノ、発電設備工事は富士電機がそれぞれ担当した。今後安比地熱が運転・維持管理業務を担う。
発電所の名称は「安比地熱発電所」。建設地は八幡平市大更18の129の1(敷地面積約18万平方メートル)。標高約1130メートルの高地に位置している。発電方式には、地下に溜まった高温のマグマでフラッシュ(減圧沸騰)した蒸気と熱水の混合物から蒸気だけを取り出し、直接タービンを回して発電する「シングルフラッシュ」方式を採用。地熱発電は風力、太陽光発電と比較し天候や季節に左右されにくく、年間を通じて安定的に発電できるメリットがある。
三菱マテリアルと三菱ガス化学、電源開発の3社共同での地熱発電事業は、19年5月に営業運転を開始した山葵沢地熱発電所(秋田県湯沢市)に続き2例目となる。

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