清水建設/温故創新の森NOVARE、歴史資料館と旧渋沢邸が4月運用開始

清水建設が昨年9月に開設したイノベーションと人財育成の拠点「温故創新の森 NOVARE(ノヴァーレ)」(東京都江東区)を構成する全5棟が完成を迎えた。新たに竣工した同社歴史資料館「ノヴァーレ・アーカイブス」と移築工事を終えた「旧渋沢邸」で4月から順次、社内研修や見学者を受け入れる。既存の情報発信・交流施設など3棟を含め施設群の一体運用を始める。
アーカイブスは“挑戦のシミズ”をコンセプトとする歴史資料の展示施設。初代清水喜助が1804年に神田鍛冶町で創業した時代から受け継いできた歴史資料や建築作品の模型などを展示する。今年は創業220年の節目の年。歴史や歩みだけでなく、社会の変化も織り交ぜた日本近代建設業の挑戦の歴史を学び、受け継ぐ場に活用する。施設規模はRC一部S造3階建て延べ3457平方メートル。
旧渋沢邸は2代目の清水喜助が設計・施工を手掛け、1878年に完成した木造建築を母屋とし、洋館などの増築を経て現在の姿に。深川福住町(現江東区永代)を起源に2度の移築後、1991年から青森県六戸町で保存されていた建物を同社が譲り受けた。部材一品ごとに解体・移送し保管した後、再移築した。規模は木造2階建て延べ1204平方メートル。1月に江東区指定有形文化財に指定された。
運用中の情報発信・交流施設「ハブ」と、研究施設「ラボ」、体験型研修施設「アカデミー」を含め全5棟の施設が完成した。
5日に行った報道関係者向けの内覧会で、井上和幸社長は「両施設はものづくりの原点に立ち返り『進取の精神』を育むノヴァーレで温故創新の基礎を担う施設だ。施設群が個別最適を求めつつ融合、補完し合いレジリエント、インクルーシブ、サステナブルな社会の実現を目指すとともに、100年先を見据えた社会の発展に貢献できる人財を育てたい」と話した。

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