能登半島地震で深刻な被害「液状化現象」南海トラフ地震でもリスク懸念 軟弱地盤の砂が原因・・・静岡では【備え続けよー地震災害の教訓①】

地震の揺れで、軟弱な地盤から水や砂が吹き出す「液状化現象」。能登半島地震では深刻な被害が発生しました。静岡で想定される「南海トラフ巨大地震」でもリスクの高い地域があります。

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<和田啓記者>
「石川県内灘町の液状化の被害が大きかったエリアに来ています。電柱が下がってしまったのでしょうか、電線が目の高さまで落ちてきてしまっています。こちらは沈下した家に押しつぶされて砂に埋もれたままの車もあります」

能登半島地震で震度5弱を観測した石川県の内灘町。町ごと歪んだようになったのは液状化が原因です。

<住民>
「コンクリがめくれあがってるからいつもと景色違うんですけどそれでも道ってこんなに上にあったかなっていう。家の中傾いてるし、常に平衡感覚おかしいような感じではあるので」

これは、1月1日の地震発生時の映像です。歩道は割れ、道路がめり込んでいったかと思うと泥水が地面を覆いました。別の場所では、地面が波打つ様子も。

なぜ、これほどまでに大規模な液状化が起きたのか。静岡大学防災総合センターの北村晃寿教授は液状化で噴出した砂からその理由がわかるといいます。

<静岡大学防災総合センター 北村晃寿教授>
「この砂が重要になります。均質、つまり粒が非常にそろっている。粒がそろっているということは、かなり水をもともと含みやすい砂になる」

通常、地面の中では砂の粒同士がかみ合って安定しています。ただ、均質な砂では粒同士の間にたくさんの隙間ができ、そこを満たすように水が入っています。

地震の揺れで水に力が加わると粒同士のバランスが崩れて地面の中が液体のようになり水とともに砂が地表に流れ出す。これが液状化現象です。均質な砂は、どこから運ばれてきたのでしょうか。

<静岡大学防災総合センター 北村晃寿教授>
「こっちは砂丘なんだよ。こっちは内灘の砂丘なの」
Q.山に見えますけどこれ砂丘ですか?
「そうそうそう」

砂丘の向こう側は海。日本海の海流で流されてきた砂が堆積した場所で、被害が大きかったのは陸側の住宅地です。

液状化は避難行動にも影響します。家が歪んで扉が開かずに閉じ込められるほか破壊された道路が避難の障害となります。

軟弱地盤による深刻な液状化。それは、静岡県にもあてはまります。

<静岡県地震防災センター 松浦和幸アドバイザー>
「赤いところが液状化の可能性が高いところ、それから黄色いところは可能性『中』ですね。液状化は砂の地盤で起こるので、当然海の近くは砂が多い。あと、川ですね。傾きの緩い河川は砂がどうしてもたまりますので、そういったところも液状化の可能性が高い」

小さな砂丘が広がる静岡県内の沿岸部。そこに「傾斜の緩やかな川」という条件がそろう静岡市清水区の巴川周辺、そして、太田川が流れる袋井市周辺も軟弱地盤です。

次の南海トラフ地震が予測される静岡県。しかし、石川県内灘町の住民は液状化の対策の難しさを語ります。

<住民>
「いますぐに対策しようと思ってできることと言えば…災害バッグ作るとか。なっちゃってからじゃ遅いかもしれないけどハザードマップ見直すとかそういうことしか自分たちでできることと言えば少ないんじゃないかなっていう」

液状化が起きる地域かどうか。調べることから始まる備えがあります。

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