春のような陽が差したと思ったら、急激な寒波に降り注ぐ雪……。異常気象にうんざりしつつ、週末になれば部屋にこもって映画鑑賞を決め込むという人も多いだろう。そんな皆さんにオススメしたいのが、南米ブラジルを舞台にしたオトナの恋愛映画、その名も『欲情のアマゾン川』だ。

兄弟の美しい恋人と悶々ルームシェア

タイトルからして汗ばんできそうな『欲アマ』だが、実際に舞台となるのはネグロ川と呼ばれる世界最大の支流周辺。ひとつ屋根の下で暮らすことになった3兄弟と次男の美しい新妻を軸に、情熱と欺瞞が渦巻くエキゾチックな“4角関係”を描く、欲張り官能ドラマである。

美しく神秘的な女性アナイラと恋に落ちたダルベルトは警察を辞め、立派な商業船を購入し運航業を営むことに。やがて二人はダルベルトの兄弟とルームシェアシェアを始めるが、ある日ダルベルトがネグロ川に長旅に出ることになり、兄弟たちの禁断の欲望が表面化していく。

長兄ダルモが弟の妻に惹かれる気持ちを抑えようと苦闘する一方で、アナイラと距離を縮めていく末弟アルマンド。そしてダルベルトが帰還したとき、彼らが下した決断とは……。

ブラジルに行きたくなる？ 美しい映像と哀しき愛憎

映画が始まってから10分も経たないうちに繰り広げられるベッドシーン、川に飛び込んで愛し合う男女、皆でシェアする川魚料理――。南米らしい昼間の鮮やかな映像と夕陽～夜の落ち着いた画のコントラストが楽しく、また食事や調理のシーンも多いので、観光促進効果もありそう。

3兄弟のバラバラな個性を際立てるキャスティングも巧みで、とくにマジメな長兄とパリピ風の末弟の両極端ぶりがイイ。兄弟で同じ女性を……というプロットからはギスギスとした人間関係を想像してしまうが、ムッツリ純情な長兄も奔放な末弟も悪人ではなく、家族の絆をしっかり持っている。そして男性陣のあからさまな好意にアテられたアナイラもまた、容易に一線を越えようとはしない。

この“じらし”の過程が観る側にとってもうまく作用していて、登場人物たちに感情移入し、その先行きを見守りたくなる。とはいえアマゾン川と謳うだけあって“大自然と人間の営み”に対する詩的な表現も挟み込んだりして、単なる官能ドラマではない深みを与えているのだった。

『欲情のアマゾン川』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「木曜深夜 プライベート・シアター」で放送中