NY市場サマリー(5日)ドル下落、10年債利回り1カ月ぶり低水準 株続落

<為替> 米国の非製造業部門の鈍化が示されたことで、ドル指数が小幅に下落した。市場では週内に控える米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言や欧州中央銀行(ECB)理事会などを見極めようとする動きが出ている。

米供給管理協会(ISM)発表の2月の非製造業総合指数は52.6と、前月の53.4から低下し、予想の53.0も下回った。雇用減などが重しになった。

米経済指標ではこのほか、商務省発表の1月の製造業新規受注が前月比で3.6%減と、エコノミスト予想(2.9%減)以上の落ち込みとなった。

終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数は0.04%安の103.8。

今週は6─7日にパウエルFRB議長の議会証言、7日にECB理事会、8日に2月の米雇用統計発表など、重要イベントが目白押し。ペッパーストーン(ロンドン)の市場アナリスト、マイケル・ブラウン氏は「重要イベントを控え、積極的な取引が手控えられている」としている。

ドル/円は0.4%安の149.925円。

英ポンド/ドルは0.09%高の1.2702ドル。英国では6日に春季財政報告(春の予算編成方針)が発表される。

暗号資産(仮想通貨)ビットコインは一時6万9202ドルに上昇し、過去最高値を更新。ビットコインの現物に連動する上場投資信託(ETF)への旺盛な投資のほか、世界的に金利が低下するとの見通しも追い風になった。ただその後は失速し、終盤の取引では7.04%安の6万2745.23ドル。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 指標10年債利回りが1カ月ぶりの低水準を付けた。米非製造業関連指標の低下を受けた。市場はFRBの金融政策の行方を探る上で、8日に発表される2月の米雇用統計に注目しているという。

また6─7日に行われるパウエルFRB議長の議会証言も注目されている。

米供給管理協会(ISM)が5日発表した2月の非製造業総合指数は52.6と、前月の53.4から低下し、予想の53.0も下回った。雇用減などが重しになった。

レイモンド・ジェームス(テネシー州メンフィス)の債券リサーチ部門マネジング・ディレクター、エリス・ファイファー氏は「サービス業の指標はFRBがより注目している分野」とし、インフレと雇用が「最大の要因の一部」とした。

米債利回りは指標発表前に低下しており、8日の雇用統計を控えたポジション調整が出ているという。

指標10年債利回りは8ベーシスポイント(bp)低下の4.137%。一時4.112%と2月8日以来の低水準を付けた。

2年債利回りは6bp低下の4.550%。2・10年債の利回り格差はマイナス42bpとなった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 続落し、主要3指数がいずれも1%超下げて取引を終えた。雇用統計などの経済指標やパウエルFRB議長の議会証言を週内に控えてアップルなど大型成長株や半導体セクターが売られ、ナスダック総合が下げを主導した。

この日発表された経済指標は強弱まちまちだった。米供給管理協会(ISM)が発表した2月の非製造業総合指数は前月から低下し、予想も下回った。雇用減などが重しになった。ただ新規受注は6カ月ぶりの高水準となり、非製造業部門がなお底堅いことが示された。

米商務省が発表した1月の製造業新規受注は市場予想以上の落ち込みとなった。

テクノロジー株は2023年に56%上昇した後、最近も値上がりが続き、この日は利益確定売りが出たとの声が聞かれた。

チャールズ・シュワブのシニア投資ストラテジスト、ケビン・ゴードン氏は「パウエル議長の証言や労働市場関連指標を控えた警戒感に加え、一部投資家が半導体株を売り、高値圏で利益を確定した可能性がある」と述べた。

アップルは今年第1─6週の中国でのiPhone販売が前年比24%減少したとの調査リポートを嫌気して2.8%下落。

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の中国市場向けAI半導体輸出が米政府の介入で障害に直面しているとのブルームバーグ・ニュースの報道を受け、半導体セクターも売られた。フィラデルフィア半導体指数は約2%安。

S&P総合500種の主要11セクターのうち8セクターが下落し、情報技術や一般消費財の下げが目立った。

個別銘柄ではテスラが3.9%安。ドイツ工場が付近の送電鉄塔での火災により停電し、操業停止に追い込まれた。

一方、小売大手ターゲットは通期の既存店売上高見通しを好感して12%急伸した。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 米利下げ期待が広がる中を、4営業日続伸した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比15.60ドル(0.73%)高の1オンス=2141.90ドルと、中心限月の清算値ベースで3営業日連続で史上最高値を更新した。

中東情勢を巡る地政学リスクの高まりを警戒した安全資産としての金需要も引き続き買い材料視されているもよう。市場参加者の間では、相場は今年の第2・四半期に2300ドルを上回る水準まで上昇する可能性があるとの見方も聞かれた。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 中国の景気先行き懸念を背景に売りが優勢となり、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物は前日清算値(終値に相当)比0.59ドル(0.75%)安の1バレル=78.15ドルだった。5月物は0.76ドル安の77.41ドル。

中国の国会に当たる第14期全国人民代表大会(全人代)の第2回会議において、李強首相は今年の経済成長率目標を前年と同じ「5%前後」の水準に据え置き、目標の達成が「容易ではない」との見解を示した。これを受けて、エネルギー消費大国である中国の景気減速に警戒感が強まり、原油が売られた。

米株の大幅下落を背景に投資家のリスク回避姿勢が強まる中、株式と並ぶリスク資産である原油でも売りが強まった形。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 150.04/150.05

始値 150.40

高値 150.49

安値 149.71

ユーロ/ドル NY終値 1.0855/1.0859

始値 1.0848

高値 1.0876

安値 1.0841

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 99*10.50 4.2899%

前営業日終値 98*08.00 4.3550%

10年債(指標銘柄) 17時04分 98*25.00 4.1506%

前営業日終値 98*07.50 4.2190%

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*14.50 4.1483%

前営業日終値 100*05.50 4.2110%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*03.75 4.5621%

前営業日終値 100*01.00 4.6080%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 38585.19 -404.64 -1.04

前営業日終値 38989.83

ナスダック総合 15939.59 -267.92 -1.65

前営業日終値 16207.51

S&P総合500種 5078.65 -52.30 -1.02

前営業日終値 5130.95

COMEX金 4月限 2141.9 +15.6

前営業日終値 2126.3

COMEX銀 5月限 2398.4 ‐0.7

前営業日終値 2399.1

北海ブレント 5月限 82.04 ‐0.76

前営業日終値 82.80

米WTI先物 4月限 78.15 ‐0.59

前営業日終値 78.74

CRB商品指数 275.8254 ‐1.4603

前営業日終値 277.2857

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