高画質・高音質をワンチームで届ける、国内液晶テレビ市場でトップに君臨するTVS REGZAの戦略

2019年からハイセンスグループ傘下で映像関連機器ビジネスを手掛けるTVS REGZAは、「BCN AWARD 2024」において「液晶テレビ(4K以上)」と「液晶テレビ(4K未満)」の2部門でトップを獲得した。4K未満で3年連続3回目、4K以上で初。テレビ市場トータルでは2年連続トップだ。「BCN AWARD」は、全国の家電量販店・ネットショップのPOSデータを日次で収集・集計した「BCNランキング」に基づき、パソコン関連・デジタル家電関連製品の年間(1~12月)販売台数第1位のベンダーの功績を讃える賞。この偉業を成し遂げた背景にはどのような戦略があったのか。今後、どのような活躍が期待されるのか。同社の取締役副社長兼営業本部長・笹川知之氏に話を聞いた。

取締役副社長兼営業本部長・笹川知之氏

東芝出身のエンジニアの高い技術力で競争に打ち勝つ

TVS REGZAの強みは、高い技術力を持つ東芝出身のエンジニアが日本国内でテレビの肝ともいうべき高画質・高音質にこだわりをもって開発していることだ。その象徴が、フラッグシップモデルに搭載されている高画質映像処理エンジン「レグザエンジンZRα」。十数億円をかけて独自に開発している。「高画質映像処理エンジンを自前で開発している企業はごく数少」という笹川副社長の言葉からも、高画質にかける想いが伝わってくる。

また、便利な機能を搭載することにこだわっている点も強みになっている。テレビだからこそテレビ番組視聴にこだわって開発している独自機能の「タイムシフトマシン」は地上デジタル放送を最大6チャンネル同時に録画でき、見たい番組をいつでも視聴することができる。また、近年はネット動画の視聴機能にも力を入れており、最新機種に同梱されているリモコンにはYouTube 、Prime Video、NETFLIX、など動画配信サービスのダイレクトボタンを13個配置。さらに、ユーザーがお気に入りのネット動画サービスやHDMI入力端子などを登録できるMy.Choiceボタンも用意されている。さらに、AirPlay 2(iTunes/iPhone/iPod touch/iPadからのワイヤレス再生)などにも対応している。

笹川氏は、「これまでレグザは録画予約という面倒な作業を軽減しながらテレビ番組をいつでも好きなときに観ることができたり、気軽にネット動画が視聴できたりといったテレビ使用の利便性向上に力を入れてきた。今の時代だからこそその価値をお客様にご理解いただけるようになってきたと考えている」としている。

幅広い商品ラインアップもカギ

また、商品ラインアップが幅広いのも好調なセールスの要因の一つだ。パネルの種類はハイビジョンから4K有機EL、4K Mini LED液晶、4K液晶から選択でき、サイズも24V型から100V型までと、幅広い。

実際、20年発売のネット動画視聴を強化したハイビジョン液晶レグザ「V34シリーズ」(40V型/32V型/24V型)は市場で多くの顧客に支持されて継続的に売れている。今年2月16日にはハイビジョン液晶レグザ「V35Nシリーズ」(40V型/32V型/24V型)の販売も開始した。昨年11月にはレグザ史上最大サイズ」をうたう100V型の4K Mini LED液晶レグザ「100Z970M」を発表。「想定以上にお客様が購入しており、好調に推移している」とのことだ。

ほかにも、普及価格帯として4K液晶レグザ「M550Mシリーズ」(75V型/65V型/55V型/50V型/43V型)や「E350Mシリーズ」(65V型/55V型/50V型/43V型)なども販売。「高画質・高音質、高機能、そしてラインアップの幅広さが、当社を国内テレビ市場でユニークな存在にしている」と笹川氏はアピールする。

ハイセンスの調達力と製造力がシェア拡大を支える、企業体質も改善

TVS REGZAは、世界第2位のテレビメーカーであるハイセンスグループとあって、圧倒的な調達力と製造力もシェア拡大を支えている。例えば、コロナ禍によって電気・電子部品の世界的供給不足が発生したときも、ハイセンスの高い調達力によって生産への影響はほとんどなかったという。

また、ハイセンスグループとなったことを機に企業体質も改善したという。「商品企画から研究開発、製品設計、営業まで全てをワンチームでこなしているので、それぞれの部署の意見を素早くフィードバックできる」と笹川副社長。市場の生の声をダイレクトに研究開発や商品設計の担当者に届けることを実現したり、「事業会社→販売会社→流通」という流れを、大手流通向けには直接取引に変更し、サービスサポートも自営化したりした結果、経営層の意思決定が格段にスピーディーになったという。

その上で、マーケティングや販売のさまざまな施策に取り組み、成果をあげつつあるという。「販売店様向けの商品内覧会を定期的に行うことができるようになり、開催場所も増えつつある。販売店様との良好な関係を築くことができるようになってきた」こともシェア拡大に功を奏したという。

潜在顧客に向けたマーケティング活動などでもユニークな取り組みを実施している。レグザ公式YouTubeチャンネルでは、レグザブランドマネージャーが自ら出演しテレビの設置方法なども分かりやすく紹介するなどし、消費者だけでなく販売店のスタッフにも好評を博している。スポーツマーケティングにも力を入れており、23年には日本ラグビーフットボール協会との間で5年間の日本代表オフィシャルサポーター契約を締結。「スポーツを見るなら断然レグザ、ともいわれるようになりたい」と笹川副社長はいう。

有機ELテレビでもトップを目指す

テレビに関連したBCN AWARDの部門は、「液晶テレビ(4K以上)」「液晶テレビ(4K未満)」「有機ELテレビ」の三つ。来年1月発表の「BCN AWARD 2025」において、TVS REGZAが未だ1位を獲得していない4K有機ELのカテゴリでトップになることができるかに注目が集まる。笹川氏が「三冠の達成を目指す」と抱負を語るところをみると、今年もTVS REGZAが期待の新商品を投入してくるようだ。これからもTVS REGZAの活躍から目が離せそうにない。

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