TDB景気動向調査(全国)― 2024年2月調査 ― 国内景気は、2カ月連続で悪化

< 2024年2月の動向 : 小幅悪化 >

 2024年2月の景気DIは前月比0.3ポイント減の43.9となり、2カ月連続で悪化した。国内景気は、株式相場など金融市場が好材料となったものの、消費者の節約志向の高まりや自動車の生産・出荷停止などが悪材料となり、小幅ながら悪化傾向が続いた。

 2月は、日経平均株価が34年2カ月ぶりに史上最高値を更新するなど、金融市場において好材料の多い状況が続いた。さらに、インバウンド消費や半導体関連の設備投資需要などが景気を下支えした。一方で、能登半島地震による影響が北陸地方を中心に続いたほか、物価高にともなう節約志向の高まりに暖冬による季節需要の不振も加わった。さらに、自動車の生産・出荷停止などは製造から小売まで関連する業種の下押し要因となった。

業界別:6業界32業種で悪化、買い控えや製造業の停滞などがマイナス材料に

 10業界中6業界、51業種中32業種で悪化した。物価高騰にともなう消費者の節約志向の高まりや製造業の停滞、海外経済の動向などが景気の下押し要因となった。 他方、史上最高値の更新が続いた日経平均株価などの金融市場の安定はプラス材料だった。

規模別:全規模が2カ月連続でそろって小幅に悪化

 「大企業」「中小企業」「小規模企業」が2カ月連続でそろって悪化した。いずれの規模も好材料と悪材料が交錯するなかで、小幅な変化にとどまった。

地域別:10地域中7地域で悪化、暖冬や生産停止の影響続く

 『北陸』『東北』『東海』など10地域中7地域が悪化、3地域が改善した。能登半島地震による影響が北陸地方を中心に引き続き表れたほか、天候不順や自動車の生産停止なども下押し要因となった。都道府県別では31府県が悪化した。

< 今後の見通し : 夏以降に持ち直し >

 今後は、雇用情勢の逼迫を背景とした継続的な賃上げや賞与、減税などによる個人消費の行方がカギとなる。また企業業績の改善が進むなか、好調なインバウンド需要や設備投資の拡大が見込まれるほか、生成AIの発展などはプラス材料と言えよう。

 他方、人手不足や職人不足が長期化するなかで、2024年問題など時間外労働への対応、物価や金利の動向なども注視が必要である。さらに、一部自動車メーカーの生産停止や新型コロナ禍後の対面型サービスの需要一巡、海外経済の動向も懸念材料となろう。

 今後の景気は、悪材料が集中し下振れるが、夏以降から賃上げなど個人消費を中心に緩やかに持ち直すとみられる。

© 株式会社帝国データバンク