「政治力持つには子分が必要」 亀井静香氏に聞いた“政治とカネ”

先日行われた、政治倫理審査会。岸田総理大臣は、自らお詫びの言葉を述べた。

一向に終わらない「政治とカネ」の問題。その内情を取材すべく、広島出身の“政界の重鎮”亀井静香氏を直撃した。

「わんさかもらった昔、(政治献金は)年間20~30億円来たな」

時に郵政民営化に反対し、またある時は、“ホリエモン”と対峙するなど激動の議員生活を送った亀井氏。政界を揺るがす「政治とカネ」の問題について、その裏側を明かしてくれた。

「俺が親分やってたから、昔は何千万円渡していた」

「政治家にとっては、(お金は)道中手形なんだよ。契りを結ぶんだよ」

単独インタビューに応じた“派閥の元親分”の亀井氏の証言から、「政治とカネ」を掘り下げる。

■「志帥会」の創設メンバーだった亀井氏

都内のホテルで 広島ホームテレビの単独インタビューに応じた亀井静香元衆議院議員(87)。衆院選で13連勝した、かつての“広島6区の顔”政界の重鎮だ。

東京大学を卒業後、警察官僚などを経て1979年に初当選。自民党に所属しながらも、郵政民営化の際に反対し、新党を立ち上げるなど「政界の抵抗勢力」を自称した。

「(最初の選挙で)応援してくれたのは、2人だけしかいなかった。それで、俺は1軒1軒歩いて行ったから、そういった結びつきの中で政治家というのは非常に強くなる」と亀井氏。

すでに政界を引退した亀井氏だが、今、国会をにぎわせる「政治とカネ」にはある関わりがある。

実は、解散に追い込まれた派閥の一つ「二階派」こと「志帥会」の創設メンバーだったのだ。

■「派閥が議員にお金を配るのは当たり前」

1999年に結成された「志帥会」。亀井氏は、会長を務めるなど派閥の長として強い影響力を誇った。今回の疑惑で、古巣は解散する事態となったが、亀井氏に思いを聞いた。

「きれいな政治献金ってあるからね。政治資金規正法で届ければいいんだ。今回だって届けてないから問題になってる。昔は、何千万円単位で渡してやっていた。それが親分の仕事。それぞれ金がかかるから、それを助けてやるのが何でいかんのよ」

報告書の不記載は問題とするも、「派閥が議員にお金を配るのは当たり前」と持論を展開。

「金がかかる」とする亀井氏にその使い道を聞くと、こう返ってきた。

「お金で票を買うようなことをしているわけじゃない。交通費だってかかる。飲み食いだって選挙区の人にたかるばかりにはいかないから、会食費だってかかるし。」

自民党が公表した裏金疑惑の調査結果によると、派閥からの還付金を受け取っていたのは85人で、5年間で総額5億7949万円。主な使い道は、会合費や車両購入費、翌年以降のパーティー券購入費などだったとされる。

「きれいごとだけではいけない。一緒に酒を飲むとか議論をするとか、そういうことの中で、お互いに意気投合して、『日本をどうする、世界をどうする』そういうことを議論する。それが政治さ」

■お金でつながる政治家同士の信頼関係

一方、政治家同士の金銭のやり取りには「別の意味」もあるという亀井氏。

「政治家にとっては道中手形なんだよ。契りを結ぶんだよ。お互いの関係だけで人に言わずに、お前と俺との関係だから『受け取れ』、『いただきます』と。子分が多くないと政治的な力を持てないから、(自民党)総裁にもなれない。俺は、なりそびれたけどな」

お金でつながる政治家同士の信頼関係。それがまさに今、国民の不信を招いている現状がある。

最新の世論調査によると、岸田内閣の支持率は、政治資金問題が直撃した12月以降20%台前半に低迷。政党から政治家に支給される「政策活動費」については9割以上が廃止、もしくは使い道の明記を求めるなど、多くの国民が「政治とカネの透明化」を求める結果となった。

裏金問題の渦中の議員らを巡り、衆議院・政治倫理審査会が開かれたものの、その経緯について明確な説明はなく、立憲民主党の野田佳彦元総理から岸田総理に対し、「内閣総理大臣として、政治資金パーティーはやらないと明言できないか」と、追及する場面もあった。

岸田総理は「在任中は、やることはないと考えている」と答えたが、政治とカネの問題に終止符が打たれるのはいつなのだろうか。

■「世界中どこにあるの?」お金がかからない政治

お金がかからない政治はできないのか、改めて、亀井氏に聞いた。

「世界中どこにあるの?アメリカだってパーティーばっかりやっている。人が集まるところには、金がかかる。やはり自由なカネが動かないと社会は持たない。それが全部悪い悪いとして、重箱の隅をつついたらどうしようもない。今のマスコミはそうだぞ」

政治家が、お金ではなく政策や議論でつながるような未来は描くのは、難しいことなのか。国民からの厳しい視線が注がれる中、政治不信は広がる一方だ。

© 広島ホームテレビ