全農岩手県本部(高橋司本部長)は5日、先進技術を取り入れたピーマン栽培の実証農場を稼働させた。最適な環境を人工的に作る制御装置を備えたハウス内で、土を使わず、液体肥料を循環させる全国的にも珍しい栽培手法。天候に左右されず省力化して収量を倍増させる技術の確立を目指す。本県は夏秋期では全国1位のピーマン産地で、中山間地域の農家に技術を還元し、生産拡大と「稼げる農業」につなげる。
紫波町片寄に、栽培ハウス2棟(929平方メートル)と作業ハウス(162平方メートル)を整備した。同日は県農協五連の伊藤清孝会長ら関係者が稼働を祝い、苗を定植した。
土を使わず、ヤシの実の繊維などで作られたヤシガラの培地に苗を植え、液体肥料を用いて栽培する。液体肥料は約3割が作物に吸収されずに外へ流れ出るが、排液を再利用するシステムを備えた。ヤシガラは3年をめどに交換する。土栽培ではピーマンがカルシウムを吸収できず、腐るケースがあった。